社会にある障害を取り除き、障害者も高齢者もふくむ多様な人々が暮らしやすい地域を築こうと、桐生市立新里中央小学校(上原広行校長、児童数355人)で17日、DET(Disability Equality Training、障害平等研修)が行われた。車いすユーザー3人で活動するDET群馬が来校し、卒業間近の6年生58人が体験し考え、「障害」とは何かに気づいていった。
来校したのは高橋宜隆さん(42)、飯島邦敏さん(44)、細野直久さん(49)。DETは1990年代後半からイギリスで発展、2006年に国連障害者権利条約が採択された。日本には障害者差別解消法が施行された14年に取り組みが始まり、群馬の3人も深く共鳴。東京で講習を修了して昨夏から活動、官庁や大学・高校で実施してきたが、小学校では今回が初めてで、全国でも2校目という。
総合的な学習で車いす体験や高齢者疑似体験など福祉について学んできた6年生たち。3人はまず「障害とは」と問いかけることから始めた。「体が不自由な人」「手・足が動かない、しゃべれない」などの答えがほとんどだ。
続いて車いすの人がたくさんの商品が並ぶ階段の前にいる絵が示される。DVDでは白杖を持った人が歩道を歩いていて、違法駐車の車にぶつかるシーン。親切な人が車いすを押すが、乗っている人におかまいなく雑な振る舞いをする。何が問題だと思うか、どうすればいいか。子どもたちが考えて話し合う。
最後の問題は、大きな星を小さい穴のあいた箱に入れるにはどうするか。いろんなアイデアが出され、車いすの3人も感心しつつ「星を変えるか、箱を変えるか。星が障害者で、箱が社会だったらどうか」。また一見バリアフリーでも車いす席からはよく見えない施設の事例を紹介すると、子どもたちは「建てる前に車いすの人の意見を聞くこと」と気付いた。
最後に再び、「障害とは」と問いかける。子どもたちの答えは「社会が作り出しているもの」「個性」「一人一人助け合うべきもの」「社会を変える一歩」と大転回。DETの3人やサポーターたちをも感激させた。
飯島さんは「車いすは見えるけれど、見えない障害もある」と付け加え、「同じまちに住む人として、常に障害について考えてほしい」と話していた。
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