3月下旬、上州武尊山、安達太良山、那須岳で、雪崩による死亡事故が相次いだ。記者もそれぞれ登ったことがあるだけでなく、上州武尊山は事故の1カ月ほど前に犠牲者と同じ山スキーで入った山域でもあり、自分が被害に遭っていても何の不思議もないと思うと背筋が凍る▼高校の山岳部員ら8人が亡くなり、登山史上に残る惨劇となった那須岳の雪崩事故。指導教諭の対応を批判する声も上がるが、山に親しんでいる一人としては、いくつか疑問は残るものの、事故自体を安易に批判する気にはなれない▼吹雪の中、計画していた茶臼岳登頂は断念し、深雪をかき分けて進むラッセルの訓練に変更したのは妥当な判断だ。疑問なのは、せっかく登頂を断念したのになぜラッセル訓練にあんな急斜面を選んだのか、そして雪崩のリスクが高い尾根まで行く必要があったのかだ▼想像するに指導者は、せっかくなら厳しい訓練をという親心で、あえて難易度を上げたのではなかろうか。危険と安全の境界は紙一重だが、訓練の質を下げてでも、ここなら安全という判断よりさらに安全の側を採るべきだった。今回の事故もそんな教訓を残したが、自然相手にその判断は極めて難しい.
(成)
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