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Channel: ウェブ桐生タイムス
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学び舎

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 学生を終えて以来、久しぶりに大学へ行った。同窓会の会場だったのだ。いくつか建物が新しくなっていたけれど、基本的には変わらない。安心の風景。同級生たちもあまり変わりない。安定の距離感。子連れ参加もいて、会場はずいぶんにぎやかだった▼帰り道、1人の男の子を指して、特別支援学校で教員をしている同級生が言った。「ナオ君は多動かもしれないね」。声をかけられた母親は「そうなんだよ。ちゃんと相談に行こうと思ってて」。何気ない、実にさらりとした会話だった▼「発達障害」の一つ「注意欠陥・多動性障害」の可能性を指摘して、言われた母親も穏やかにうなずく。両者ともに「その子の一部」として冷静に受け入れる。そういう人たちに囲まれた環境にいたのを思い出した。忘れてはいけない、忘れたくない大切な価値基準▼「障害をごく自然に受け止める社会」。言葉にすれば簡単だけど、本人や家族の願い、私たちのできることなどなど鑑みると、とても一筋縄ではいかないもの。長い道のりかもしれない。でもきっと、不可能ではないのだ。2人の会話を聞いていて、そんなふうに結論づけた▼約8年ぶり。もう学生ではないけれど、今でもあの場所は学び舎だった。(
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