殺処分される猫を減らそうと、桐生市東久方町一丁目に事務局を置く桐生猫のいえ(萩原眸代表)が「TNR」と呼ばれる活動を始めた。地域住民の協力を得て、野良猫をとらえて不妊去勢手術をし、再び地域に戻す取り組み。特定の飼い主はいないものの、地域住民どうしで世話をする「地域猫」を増やすことで、殺処分に頼らず野良猫の数を減らそうという試みだ。
ごみをあさる、庭を荒らす、排せつ物のにおいがきつい、鳴き声がうるさいなど、野良猫に悩む声は多い。生まれた子猫などが県動物愛護センターに収容され、最終的に殺処分されるケースも多く、2015年度は県内で約1300匹の猫が殺処分された。
県食品・生活衛生課によると、桐生・みどり地区で県動物愛護センターに送致された猫の数は、15年度が144匹、16年度は210匹に増加しており、野良猫の管理や飼い主のマナーアップが大きな課題だ。
TNR活動は、野良猫に不妊去勢手術を施した上で、地域住民の同意をもとに地域猫として面倒をみようというもの。
不妊手術をすることで猫の増加を抑制し、一代限りの生をまっとうさせるのが目的だ。
県では今年3月、「飼い猫の適正飼養及び飼い主のいない猫対策ガイドライン」を作成。この中で野良猫と区別した地域猫を定義し、飼い主のいない猫と地域住民との共生を打ち出した。予算計上もしており、地域住民、ボランティア、行政が一体となった野良猫対策に乗り出している。
桐生猫のいえの活動も、こうした大きな流れに沿うもの。まずは地元から話を深めようと本町二丁目の町会に呼び掛け、活動内容などを説明。野良猫が出没する地域を選び、10日と11日にわなをかけ、2匹の野良猫を保護した。
2匹の猫は手術を受け、耳の一部をカットして目印とし、12日までに地域に帰った。1匹数万円の不妊去勢手術の費用は公益財団どうぶつ基金の補助でまかなった。
「殺処分に頼らず、猫の数を減らすのがTNRの趣旨。活動には地域住民の理解が欠かせない。徐々に活動を広めていければ」と萩原さんは話す。
問い合わせは桐生猫のいえ(電0277・22・0778)まで。
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