3年半前に難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症後も、学生時代からの「社会を明るくするアイデアを形にして世界に発信する」活動を続ける武藤将胤さん(30)=東京都港区=とのプロジェクトが、みどり市立笠懸南中学校(桑原博志校長)でスタートした。3年生153人が美術と総合的学習の時間を使って取り組む「ライフデザイン」で、コミュニケーションロボット「オリヒメ」を使って東京の武藤さんとやりとりしながら、7月13日に課題解決アイデアの発表会を開く計画だ。
武藤さんは同校美術教諭の茂木克浩さん(32)と交流があり、全国初のこのプロジェクトで「夢を持って自分の人生を生きる」ことを身をもって伝えることにした。大手広告代理店を退社し、「WITH ALS」を立ち上げた武藤さんは「デザインには見た目だけでなく、伝え方のデザイン、仕組みのデザインがある。僕の活動を事例に、デザインの幅広い意味、手法を考えてほしい」と語る。
「ALSは進行が速く、有効な治療法が確立されていない。僕もだんだん手足を動かすことができなくなってきた。でも最後まで、目の動きは残る」
そこで「視線とまばたきで音楽や映像を操作したり照明の色を変えたりできるハイテクメガネを、メーカーのJINSと共同開発中です」。最低限の意思伝達にとどまらず、表現の自由を追求する。米国のフェスで“メガネVDJ”をやって感動されたという。
また「だれもがかっこよく乗れる全く新しい電動車いすWHILLで行動の自由を得た。しかし高価で40歳未満は介護保険が使えない。考えたのがカーシェア、必要なときに貸し出す仕組みです」。
さらにロボット。寝たきりの人でも遠隔で動かせる「分身」として利用されており、今回のプロジェクトでも東京と笠懸を結んで、武藤さんの代わりに話したり動いたりする。
生徒たちは「外見ではわからない障害の有無をどうしたら判断してサポートできるか」「日常生活をよりスムーズに過ごすことができるか」という課題をデザインの力で解決すべく、班ごとに検討。13時間目が発表会だ。武藤さんは「中学生のアイデアが楽しみです」と期待している。
関連記事: