Quantcast
Channel: ウェブ桐生タイムス
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2430

岩宿遺跡に広がり、隣接地からも石器発掘

$
0
0

 「日本文化の起源が旧石器時代にさかのぼることを初めて立証した遺跡」として昭和54(1979)年、国の史跡に指定された岩宿遺跡。みどり市笠懸町の稲荷山と琴平山のほぼ全体、約18・7ヘクタールが指定範囲だが、隣接地の発掘調査で旧石器時代の石器が出土、遺跡の広がりが明らかになった。相澤忠洋さんが発見し、明治大学や東北大学が調査したB地点に近い元染物工場跡の約160平方メートル(F地点)で、みどり市教委では保存に向けて検討。国の史跡に追加指定される可能性もある。

 みどり市教委が重要遺跡の範囲確認のため、国庫補助を受けて2015、16年度に実施した発掘調査で、地表面から2メートルの深さにある地層(暗色帯)から5点の遺物が出土した。約3万5000年前とされる、岩宿時代の生活の跡だ。

 石器は1点。長さ12センチ、幅9・95センチ、厚さ5センチ、重さ730グラム。川原石を打ち砕いて鋭い刃を作出した片刃礫器(れきき)で、木を切り倒す、骨を砕くなどのときに使う。

 他は石器をつくったときに出る小さな剥片で、うち1点は硬質頁岩(けつがん)製で長さ1・3センチ、幅1・65センチ、厚さ0・2センチ、重さ0・34センチ。東北地方の石材で「持ってくるか、物々交換で手に入れたか。いずれにしてもここで石器を作っていた人がいたということ」と萩谷千明文化財係長。

 これら旧石器時代の遺物から、岩宿遺跡は両丘陵の鞍部(あんぶ)から南東に約70メートル広がることを確認。学術的価値も高い。岩宿遺跡は指定当初から、史跡の立地景観もふくめた範囲で保存を図ってきた。今回の調査地点は民有地だが所有者は協力的で、みどり市では保存に向けて検討している。

 片刃礫器と硬質頁岩の剥片は、岩宿博物館で「遺跡発掘速報展」として初公開している。7月17日まで。
関連記事:


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2430

Trending Articles