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Channel: ウェブ桐生タイムス
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同じ日常

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 数年前の西表島にて夕刻、車がびゅんびゅんびゅん。聞けば「イリオモテボタル観賞ツアー」が大盛況とのこと。ふんふんうなずいていると地元の人が得意げに「そこの草むら、のぞいてみなよ」。イリオモテボタルではないけれど、発光する幼虫がわんさかいた。居所を指す口調は“お隣さん”であるホタルへの興味に加え、気安さと愛着があって、実に印象的だった▼さて、ゲンジボタルの季節。訪れた山田川では無数の光が闇を舞う。「山田川ホタル友の会」の大野忠さんによると、ずいぶん数が増えたそうで、それはもう見事▼在来ホタルの生育に大きく貢献するのが、同会はじめ地域住民の日々の積み重ね。川の清掃や草刈り時期の調整など生息環境の整備、えさとなるカワニナの調査も欠かさない。「ゲンジボタルは人が維持してきた里山で暮らす。保全には人の手が必要」と大野さん。川の生き物を大切に思いながらも“特別な保護”より「里山環境を維持するために少し手を貸す感覚」を大切にする。これもまた印象的▼生態系も自然に対する人の感覚も異なる二つの地域。けれどどちらも周りの生き物を思い、その息づかいを感じて日常を暮らす人々がいる。その部分は同じなのだ。(
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