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桐生市立図書館に所蔵資料展示コーナー開設

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 桐生市立図書館(藤川恵子館長)の1階に、所蔵資料を展示するコーナーができた。月替わりで絵図や文書などを紹介していく予定だ。まずは昭和9(1934)年に発行された桐生市の鳥瞰(ちょうかん)図2点を公開、山河に囲まれた地勢にさまざまな建物が集まってにぎわう往時の桐生の様子がうかがえる。

 「桐生市鳥瞰図」は桐生市役所の発行。陸軍特別大演習が行われて天皇が行幸する1カ月前に出ている。吾妻山を中心に、手前の渡良瀬川との間に桐生の市街地が描かれ、左端には富士山から遠く下関まで、U字形に大胆に盛り込む独特の作風で、作者は吉田初三郎(1884~1955年)。京都を拠点に活躍した人気絵師で、「初三郎式鳥瞰図」は全国各地の自治体や鉄道会社から依頼が殺到したという。

 制作にあたっては現地に入って調査、写生。「桐生市鳥瞰図」には初三郎の「絵に添えて一筆」がある。西陣と桐生を「二大織都」とし地形も似ている。しかし「桐生は京の西陣よりも、遙(はる)かに輝やく前途を約され、気魄(きはく)に於て地勢に於て近き将来、必らず東洋第一の織都たるべき運命を持つてゐる」と記す。新進の鋭気で老成に安んじる西陣など何のその、時代は黎明(れいめい)桐生の天下であり、その織都からの依頼で本図を完成できてうれしく思う…と続けた。

 もう1点は「伸び行く織都 大桐生」。同年に桐生市小曽根町の飯島光之丞が編集発行した鳥瞰図で、初三郎鳥瞰図とは逆の画角、また桐座や帝国座、能楽館など娯楽施設も描き込まれ、より親密感がある。調査係の小野里了一さんによると、飯島光之丞という人物は不明。また「図書館」は記入されているものの建物がなく、まさに土地の寄贈を受けて建設前の時期だったことがわかる。

 見比べても興味深い2点の「鳥瞰図」の展示は30日まで(月曜休館、19日~27日は蔵書点検のため休館)。「広報きりゅう」でも毎月の展示資料を紹介していく。
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