今年の事件簿で特に印象に残ったのは、親族や家族間の凶悪事件である▼1月、祖父に対する殺人未遂事件(昨年11月発生)で、指名手配されていた同居の孫の男が逃走先の横浜で逮捕された。金に困り、横浜でコンビニ強盗を働いて現行犯逮捕され、祖父に対する殺人未遂容疑も認めた▼6月には住宅が全焼し、焼け跡から父親が遺体で発見され、翌日、同居の長女が現住建造物等放火容疑で逮捕された。10月には母親に対する殺人未遂容疑で同居の長男が現行犯逮捕された▼孫と長女は鑑定医が精神状態などを調べる鑑定留置の結果、刑事責任を問えるとして起訴され、長男は鑑定中だ。問われる罪は、孫が殺人未遂と強盗、長女は殺人と現住建造物等放火。両事件とも一般市民が加わる裁判員裁判で審理される▼孫は「生活音がうるさいなど、鬱憤がたまっていた」とし、長女は「高齢の父と自分の将来を悲観して一緒に死のうと思った」などと供述したという。背景に不満や不安が見え隠れするが、身勝手な動機もうかがえる犯罪にどんな判決が下されるのか。それにしても悲しい結末を引き起こす前に何とかならなかったものだろうか。裁判を前にそう思うのだ。(ま)
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2015事件簿
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