大川美術館(桐生市小曽根町)の寺田勝彦館長(80)が30日付で退任する。新館長は東京文化財研究所副所長などを務めた田中淳(あつし)氏(61)で、8月に就任予定。丸8年館長の重責を担った寺田館長は「田中氏は美術館などの運営に携わった専門家。大川栄二館長からのバトンを無事に渡せてよかった」と話している。
寺田館長は初代館長の大川氏が亡くなった翌年の2009年7月に館長に就任。「市民に親しまれ、支持される美術館」をモットーに、開館記念日を無料開放するなどの取り組みを行った。「『また来よう』と思ってもらうためのきっかけづくり。思いはなかなか届かなかったが、学校との協力態勢を築き、小学生が授業で見学に来たり、中学生が夏休みの課題で訪れてくれたり、将来の観客を育てる上で多少の成果はあった」と語る。
新館長となる田中氏は1983年に東京芸術大学大学院美術研究科修士課程を修了し、東京国立近代美術館美術課に勤務。94年に東京国立文化財研究所美術部に移り、黒田記念近代・現代美術研究室長なども務めた。2014年に東京文化財研究所の副所長となり、16年に定年退職。現在、東京文化財研究所客員研究員。千葉県在住。
大川美術館とは関わりはなく、寺田館長とも面識はないというが「美術館の企画運営に携わってきた専門家。私は大川館長から託され、もともと専門の館長が来てくれるまでの〝つなぎ〟という思いで就任した。なんとかお役に立てたようでよかった」と話していた。
関連記事: