目の不自由な人にスポーツ吹矢を楽しんでもらう体験会が18日、桐生市総合福祉センターで開かれた。桐生視力障害者協会が月に1回行う交流行事の一環。群馬県スポーツ吹矢協会桐生支部が全面協力して障害について学び、目が不自由でも競技できるよう的を工夫。吹矢を放ち笑顔を見せる参加者たちに、県スポーツ吹矢協会の関口哲夫会長は「県内でも初めてで、全国的にもまれな取り組み。幅広い人に楽しんでもらえてよかった」と成功を喜んだ。
スポーツ吹矢を体験した視障協の東間みち子会長が、仲間たちに楽しさを伝えたいと県スポーツ吹矢協会に呼びかけて実現した取り組み。依頼を受けた吹矢協会桐生支部は、音を頼りにした視覚障害者のスポーツ「サウンドテーブルテニス」を見学したり、視障協と意見を交わしたりと障害への理解を深めて準備した。
研究を重ねて今回、用意された的は特別製。目標の位置・方向がわかるよう的の上で音を出したり、触れて的の形がわかるよう凹凸をつけたりと工夫されている。
当日は県吹矢協会の関口会長、桐生支部の森田清支部長を含む7人が指導に訪れた。スポーツ吹矢で行う一つ一つの動作を丁寧に教え、「矢を入れたら筒は平らに」「もっと思い切り吹いて」などとアドバイスした。
的に施された凹凸の加工を指でなぞり、「視覚障害者は手で触れることが文化」と話す視障協の山内紀世さん(77)。「スポーツ吹矢がどういうものなのか、実際に体験することで初めてわかる。(的に)当たらなくてもいい経験ができた」と満面の笑み。視障協の東間会長は「視覚障害者がやると思わないことに挑戦して楽しめた。サポートしてくれる人、吹矢協会のおかげ」と感謝を述べた。
桐生視障協は市内の視覚障害者が互いに助け合い、交流を深めるために1950年、「桐生盲人会」として創立。74年に現在名称に改名し、1カ月に1回程度の行事や旅行などを楽しんでいる。
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