除草効果を持つウッドチップモルタル平板の事業化を図り、クラウドファンディング(インターネットによる資金調達)で資金を募った群馬大学理工学部の板橋英之教授(54)は、11月を目途に学内起業する計画だ。資金は目標の50万円の18倍を超える935万円が535人から寄せられ、「予想を上回る支援をいただき、感謝しています」と話している。
県内山林の間伐材など廃材から出たチップをモルタルに混ぜて固めた平板は、混合比率を調節することで木が腐らず、あらかじめ銅を吸着させて除草効果を持たせる。樹木は光合成の過程でCO2を吸収するため、ウッドチップを使えば吸収されたCO2を固定化し、大気中のCO2削減にもつながる。
ほかにもスギの樹皮を使った土壌改良剤など、板橋研究室での研究成果を社会に役立てるベンチャー企業を立ち上げる計画だ。
4月に開始したクラウドファンディングは7月27日に締め切られ、目標額を大きく超えた。支援者は群大工学部卒業生(工業会)や、地元の桐生・みどり市民が多く、インターネット上の手続きが不得手な人たちのために窓口を開設するなどの協力もあった。
オリジナルキーホルダーや、平板の施工など、金額に応じたお返しを進めていくことにしている。
今後は大学に研究成果活用兼業の申請を行い、承認を受けて会社を設立する。起業を志す学生を学部学科を問わず公募し5人程度を採用する予定で、運営や財務管理、営業、ホームページの作成、銀行や一般投資家からの出資の受け方、また製造会社とのやりとりなど、専門家と一緒に実地教育していく。
板橋教授は「理工学部だけでなく群大全体の機運を高め、起業のエコシステム(生態系)を創り出したい」としている。
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