変わった編集者もいるものだ。この人がつくる雑誌は、ひと味もふた味も違う。大まかな方向性だけ決めたら、現地での偶然の出会いに任せる。インターネットで調べれば分かるような内容にはしない、という熱意が伝わってくる▼地元にとっての“ふつう”が、よそものにとっては“スペシャル”。偶然の出会いを重ねることでしか、たどり着けない宝物を見つけ出す。地方から全国に発信し続ける人気編集者・藤本智士さんのスタイルだ▼まだ世間に知られていない、あたらしい“ふつう”を提案した雑誌「Re:S(りす)」。人口減少日本一の秋田県が全国に向けて発行したフリーマガジン「のんびり」。読み手も一緒になって取材をしている気持ちになるのが魅力だった▼桐生市内で開かれた藤本さんの講演を聞く。「どこへ行っても同じような地方都市ばかり。だからこそ、そうじゃないまちの魅力がある。桐生もそう。桐生が好きな若い子たちは、そのことに絶対気づいている」と語った▼既存の価値観にとらわれることなく、桐生に魅力を感じている若い人たち。彼らの目に桐生のまちはどう映るのか。偶然の出会いを重ねることでしか、たどり着けない宝物を探してみたい。(針)
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