英国で日立製の特急車両にトラブルが発生したと報道があった。さまざまな試験を重ね走行実験も済ませ、ようやく開業にこぎつけた、その矢先の出来事だった。海外の施主からの期待にこたえようと、車両づくりに打ち込む技術者の姿を以前テレビで見たことがある。今回の件は相当しんどいはずだ▼純粋に技術の問題だけならば、必ず解決の方法が見つかるだろう。そうでないとすれば、事は格段に難しくなる。たとえば誰かが故意に品質の劣った製品をまぎれこませる。見かけ上は分からなくても、負荷のかかる現場で粗悪な製品に異常が起これば、取り返しのつかない事故につながる▼神戸製鋼で、品質を示すデータを改ざんする問題が浮上しているが、こちらは同情の余地のない危険な行為。アルミや銅製品、鉄鋼製品と、改ざんの範囲は膨らみ、それらを使って機器などをつくるメーカーは日本国内にとどまらない。冒頭の日立の車両に使われていれば、原因究明の作業は複雑になる▼商いの要点は信用だ。社会インフラの基礎を支える重厚長大なものづくりの担い手ならば、信用を築くために長い歳月が必要であることなど分かっているだろうに。不安の種の広がりに注視したい。(け)
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信用失墜
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