画家、絵本作家いわさきちひろ(1918~74年)の生誕100年を迎える2018年、東京と安曇野の両ちひろ美術館で「Life」をテーマにした展覧会が連続開催される。両館の館長をつとめる女優の黒柳徹子さん(84)は「ちひろさんは、かわいい絵の裏に、戦争や、すさまじい人生をおくった人。もっとちひろさんを知ってほしい。子どもたちの平和がどれだけ続くか心配している今、平和、自由のすばらしさを発信してほしい」と1日に東京で行われた記者発表で語った。記念展では桐生出身の写真家、石内都さんら7組の作家たちがちひろ作品とコラボレーションし、新たな魅力をひらく計画だ。
来年1年間にわたって東京と安曇野のちひろ美術館で開催される「Life展」。ちひろ作品に描かれた子どもたち、小さな鳥、花、いのちに対する想像力から「Life」をテーマとし、石内さんのほか詩人の谷川俊太郎さん、アーティスト長島有里枝さん、大巻伸嗣さん 、アートユニットplaplax、ファッションブランドspoken wordsproject、トラフ建築設計事務所の多分野の作家たちがそれぞれの視点から光を当てる。
石内さんは被爆した人たちの遺品を撮影したシリーズ「ひろしま」を出品。ちひろが広島で被爆した子どもたちの作文に絵をつけた「わたしがちいさかったときに」(1967年)とコラボレートする。
「10年前から広島の原爆資料館に行って、撮っています。毎年、新着遺品が入ってくるからです」と石内さんが言うと、「私の誕生日 は8月9日、長崎原爆の日だから自分では祝わない」と語っていた黒柳さんも驚いた。「原爆」は過去のことではないのだ。そしてどう未来をつくるか。「子どもたちがいっぱい見に来てくれるといい」と石内さん。来年5月12日から7月16日まで安曇野で展示する。
ちひろの夫で、記念事業団評議員の松本善明さん(91)は、ちひろとの出会いを振り返り「戦後のあのころ、青年は戦争について考え ざるをえなかった。ちひろも同じで、意気投合した」。そして「いま日本は戦争について改めて考える時期に入っているのではないか。ちひろの絵だけでなく、その人生、日本の歴史についてお考えいただくことを願う」と述べていた。
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