傾聴という言葉がある。一般的には「耳を傾け熱心に聞くこと」。ビジネススキルの一つとして“傾聴力”なんて使われ方をするらしい。さて、ここから先は「傾聴ボランティア」として行われるのと同じ意味で「傾聴」を使う▼この数年でたびたび、傾聴を学ぶ講座を取材した。それによると「よい聴き手は肯定的にあることが大前提」だという。聴き手の考えに沿うかどうかは別問題。沿わないからといって、流して聞いていいものでもないし、反論するものでもない。まあ、今の自分には大変に難しいなあと思う。そこで「大切なのは相手が歩んできた人生、培ってきた価値観を受け止めること」だそうだ▼人の生き方、考え方は異なっていて、世界は多様な価値観があふれている。その中で他者を理解する鍵となるのが「この世に命を与えられて生きている、存在している」という事実。その一点においては誰もが対等で、傾聴の根底に欠かせない感覚という▼ある医療機関が患者本人に渡す書類「患者さんに対してやったことリスト」の項目の一つに「傾聴」があった。患者の不安を傾聴したら丸印をつけるという。改めて考えてみると、ずいぶんハードルが高い項目だと思うのだ。(並)
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