常より早めにセットしたアラームに目覚めると、静かに白い気配。外を見ると雪、雪、雪、やはり降っていた。暖冬傾向で先週は北陸も土が見えていたが、今朝は白いベールでつながった▼遅ればせながら初めて乗った北陸新幹線で、トンネルを抜けるたび車窓の景色を見やった。海無し県での生活の方が長くなると、鈍色の荒れた海も恋しい。いかにも北陸の海で、漁に出た弟は珍しく船酔いしたという。それでもカサゴ、キジハタ、ウマヅラ、アマダイ、ヤリイカと獲物を見事にさばいてくれた▼刺し身とともに五箇山の地酒「三笑楽」が進む。食べきれない分は昆布〆にして後日また美味。昆布の消費量が全国一、二の富山県なのだ。昆布〆用に幅広で平たくて薄めの昆布もある。昆布巻きかまぼこ、切昆布入り餅、おにぎりにおぼろ、そして黒とろろ、白とろろ。昆布屋さんが羅臼の昆布を買い付けてくるが、かつては北前船がもたらしたのだろう▼素材を生かし、旬を味わう、地域性豊かな食文化は、自然への感謝に深く根付く。ユネスコ無形文化遺産に登録された和食は、産土それぞれに伝承がある。雪国に雪が降らないと、田植えができない。大いなる循環の中で、生かされている。(流)
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