Quantcast
Channel: ウェブ桐生タイムス
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2430

小さなライト

$
0
0

 真っ暗闇に包まれた小学校の校舎で一晩中、少女は幼い弟と一緒に両親の迎えを待った▼東日本大震災の2011年3月11日夜。寒さと不安の中、友達がランドセルに付けていた小さなキーホルダーのライトを付け、その淡い光だけを頼りに10人で励まし合いながらトイレに行った▼宮城県名取市の自宅を津波で流され、小学校屋上に避難して無事だった当時小5の菊地里帆子さん。「わたしも小さい子どもだけど、あのライトのようにだれかの心の光になれるかもしれない」と思い、当時の作文に「輝く太陽がなくなったらわたしが小さく輝けばいい。小さなわたしでもだれかの心の光、希望の光となるように一生懸命頑張ります」と書いた▼6日にみどり市大間々町のながめ余興場で開かれた「友達の森コンサート」で、仙台市在住の朗読家・渡辺祥子さんが紹介してくれたエピソード。少女はいま高校生となり、地元の子どもたちのために遊び場をつくり勉強を教えるプロジェクトを立ち上げたという▼「津波が奪えなかった希望という未来からの光、そして過去から照らされた光を受けて、わたしたちは今を生きている」。そう結ぶ渡辺さんの言葉に、5年の歳月を実感した。(針)
関連記事:


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2430

Trending Articles