「え？ 清原さんですか？」「そうですよ」─。みどり市笠懸町阿左美のあるコンビニ店の納入業者は、目の前に突然現れた大きな男の姿に驚き、思わず尋ねたという。まさか、あの球界の大スターがふらりとこの辺のコンビニに立ち寄るとは思いもよらなかったろう。そしてまさか、近くで覚せい剤の取引をしていたなんて▼清原和博容疑者の覚せい剤事件が桐生・みどり地域につながっていたことに、この地域の多くの人がショックを受けた。だが、大半の人の日常からは見えにくいが、実はそのすぐそばに薬物への暗い扉がある。今回の取材を通じ、その恐ろしさを痛感した▼売人として逮捕された三好こと小林容疑者は、清原容疑者の大ファンだったという。憧れの大スターが自分を頼ってくることに、人知れず虚栄心は満たされていたに違いない。だが、ファンとスターの関係の実態は、覚せい剤の上客と売人だった。悲しいという言葉しか出てこない▼小林容疑者の知人の男性は、事件の率直な思いをこう表現した。「自分も清原の大ファンだった。俺の憧れの清原になんてことしてくれたんだ」。そして小林容疑者にこう吐き捨てる。「本当のファンなら、覚せい剤をやめさせるべきだった」（成）
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売人と上客
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