桐生市本町三丁目町会(原勢隆一町会長)の所有する翁鉾(おきなぼこ)の修繕が終了した。鉾の基礎を支える太鼓梁(はり)のほか、三味線胴の構造など、腐食が進んでいた木造の部材の一部を新調した。人形の「翁」や四方幕の補修は昨年内に終了しており、翁鉾全体の修繕は、これで完了したことになる。
石原常八が彫刻を、和泉屋勝五郎が人形を手がけ、幕末の1862(文久2)年に完成した翁鉾。江戸型山車の流れをくむシンプルな構造で、桐生では珍しい金塗りの山車でもある。
今回の修繕は、桐生祇園祭の“応援団”である「桐生の文化遺産継承発信事業実行委員会」(奈良彰一委員長)が文化庁の補助を受け、費用負担した。
昨年の桐生祇園祭典の後、鉾を解体。土台を支える太鼓梁と呼ばれる湾曲した太い梁を新調したほか、腐食が進んだ部材を選び出し、数十点をつくりかえた。
7日から組み立て作業を開始。採寸をしっかりし、正確に製作したものの、実際に組み合わせてみるとうまくいかないケースも多く、現場でのみを使って削るなど、調整しながらの作業が続いた。
21日には1層目と2層目を基部の滑車で上げ下げする作業にも挑戦。長年にわたり使用していなかったため、ひもの通し方に難儀したものの、操作できることが確認された。
ようやく終了した作業に、原勢町会長は「大切な文化財。これでしばらくは補修の心配もなくなったのでは」と話している。
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