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Channel: ウェブ桐生タイムス
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それぞれの5年

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 「まだ残っているのは、わが家くらいですか?」。取材中にそんな質問を受けることがある▼東日本大震災の地震や津波、原子力発電所の放射能漏れ事故で、被災地から桐生地区に避難している人たち。震災から5年の節目を前に、一軒一軒訪ねて回っている▼冒頭の質問の答えは「いいえ」だ。震災と原発事故で桐生地区に避難している人は今なお31世帯72人(桐生市22世帯50人、みどり市9世帯22人)。130人を超えた震災直後より減ったものの、依然多くの被災者が身近な場所で暮らしている▼先日、小学校高学年になる次男の学校で、震災の話をする機会をいただいた。子どもたちに挙手をしてもらったら、東日本大震災は知っていても、ほとんどが避難者の存在を知らなかった▼震災当時まだ小学校入学前だった彼らには、テレビの向こう側の出来事と映るかもしれない。しかし現実に、自分たちのごく身近なところに、震災で故郷を追われた人がいる。同じ地域に暮らす住民として、その事実をまず知ってほしい▼桐生で夢をつないだ野球少年、帰郷か定住か迷う年配夫婦、望郷の思いで亡くなった女性…。5年の歳月を重ねた“避難者のいま”を伝えたいと思っている。(針)
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