天然素材の生地を染め、洋服や雑貨を手作りしている「ripple(リップル)」(桐生市小曽根町、岩野開人さん・久美子さん)が、障害者支援施設赤城野荘(前橋市江木町)の手がけた織り布からイメージを膨らませた作品づくりを始めた。前橋市千代田町のアーツ前橋ミュージアムショップminaで開催中の企画「日々を織る」で展示しており、久美子さんは「赤城野荘の作品を初めて見たときの感動を、多くの人に伝えられたら」と話している。
開人さんが染色、デザインと縫製を久美子さんが手がける「リップル」は桐生産の繊維をはじめ、こだわりの素材を草木染で染色するなどして衣類や小物を製作。完成した商品は広く人気を集めており、県内はもちろん、全国各地にファンを持つ。
新たな取り組みの一つが障害者支援施設「赤城野荘」の利用者が手織機で織り上げた布を生かした洋服づくり。同施設が生活支援の一環として創作した織物からイメージを膨らませて洋服を製作し、ポイントとしてあしらった。
今回の展示会場となったミュージアムショップ「mina」の仲立ちで出会ったリップルと赤城野荘。施設を訪れ、利用者たちが創作活動に取り組む様子を見学した久美子さんは「作りたいものを思うままに織る姿に物を作る原点を感じた」という。
同施設が制作した生地は個性豊かで魅力的だが、「製品の形にして販売に結び付けるのが難しい」と同施設の支援員・鈴木順子さん。この試みでより多くの人の手に届くことを期待し、「利用者さんの創作の励みになる。織り布を通して社会とつながりを持つことにも」という。
今回出品する約30点のスカートやシャツなどに同施設の織り布が使われており、合わせて捺染(なっせん)やパッチワーク、ビーズ・刺しゅうもほどこした。久美子さんは今後、「織りの特徴を生かし、デザインの幅を広げていきたい」と話している。
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