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前衛と日常と

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 「群馬NOMO(ノモ)グループの全貌―1960年代、『変わったヤツら』の前衛美術」を見た。各地で新しい美術表現を求めるグループが同時多発した“熱い”時代。前橋の画廊を拠点に社会と芸術、日常生活と表現の関係を探って活動した彼らの作品が半世紀ぶりに再現して、当時の空気に触れたようだった▼NOMOが注目を浴びたのは県庁前の商店街に一日で描いた「シャッター絵画」。炎天下、白塗りにホースをくわえたパフォーマンスも合流し、シャッター15面がポップアートに変身した。そして30㌢角の床材に描いた「標識絵画」を街角に掲げた▼イベント的集団制作だけでなく、無審査自由出品の展覧会も開催。急進的な反芸術性はなく、数少ない発表の場であった県展と大差ない作品が多かったという。高卒で自営、農業、銀行員をしながら画塾などで学んできた彼らは、地に足がついていたというべきか▼若者たちの政治の季節と期を一にするようにNOMOの活動も終焉した。その全容を見られるのは、県立近代美術館が調査研究し企画した今展が初めてだ。集客力のある巡回展に頼らず、地域独自の活動をきちんと評価し紹介する。新たな前衛の出現も期待される。(流)
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