あすから春の全国交通安全運動が始まる。桐生署管内の交通事故による死者は2015年の1年間で2人と、統計の残る1953年以降最少を記録した。
理由はさまざま考えられるが、道路を利用する個々人が注意を払いながら通行していることの一つの証しであることは確かだ。ただ、死亡事故こそ減少しているものの、人身事故そのものは私たちに身近な存在で、管内のどこかで毎日のように発生していることに変わりはない。その中には、九死に一生を得たような、死亡事故と紙一重の事例も少なくないはずだ。
事故が起きやすい場所はどこなのか。4日付の本紙4、5面に、桐生署管内の交通事故危険箇所が掲載されている。目立つ交通事故の事例紹介もあり、参考になるが、少しでも早く前に進もうとする運転者の小さなあせりと、通い慣れた道ゆえの気の緩みが、交通事故を引き起こす最大の要因であるという事情に、今も昔も変わりはない。
一方で、桐生市内の道路交通環境は時代とともに移ろい、車の流れも変わりつつある。例えば、中通り大橋が開通したことにより、中通り線を利用する車両は着実に増えている。とりわけ朝夕の混雑は激しい。市の中心市街地と国道50号とを結ぶ幹線として利用しやすく、道路も広くて走りやすい。バイパス的な役割を果たしているわけだ。
沿道には神明小学校や桜木中学校、南小学校、東小学校など学校が多数存在しており、登下校時には横断歩道を利用する子どもたちも多い。一般に、人身事故の発生数は午前8時~正午と、午後4時~同8時にピークがある。朝夕の運転者には十分な注意が求められる。
また、車で桐生を訪れる観光客も、春とともに増加する。桐生天満宮古民具骨董市、買場紗綾市、桐生楽市の3市が立った今月2日も、中通りや本町通りを走る県外ナンバーの車を多数見かけた。桐生が岡公園を目指して来る大型バスも中通り線を利用するケースが目につく。
新年度が始まり、7日から9日にかけて桐生みどり地区の小・中・高等学校でいっせいに入学式が行われ、子どもたちの通学が始まる。ひと足早く、これまでと違うルートで通勤通学を始めた大学生や社会人たちもいるだろう。道路環境は3月までとは違う。そんな意識を持ちながら、初心に帰って思いやりのある安全運転を心掛けたい。
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