職場体験で訪れた中学生に「どうしてこの仕事についたのですか」と問われると、「話すよりも書くことが好きで得意だったから」と答えてきた。だから「活字」の世界に飛び込んだのだと。記者になってみたら、書くことより話すこと、聞くことの方が大切な力だと分かるわけだが▼好きな「国語」の分野にも苦手なものはある。その最たるものが「俳句」だ。五・七・五で表現する世界最短の定型詩。記事でさえ、つい長くなりがちな記者にとって俳人は尊敬すべき人である▼その俳人の中で最も勢いがある夏井いつきさんを招き、桐生市市民文化会館で開かれた文化講演会を取材した。会場ではテレビで人気の辛口査定も来場者の句を使って披露。その句の個性を損なうことなく、少し手直ししただけで広がる世界。プロの添削の技に感心しきりだった▼この日添削を受けた人の中には太田高校の教員も。夏井さんが創設した「俳句甲子園」に挑戦する生徒と一緒に参加したという。こんな楽しい先生がいたら、高校時代、俳句甲子園に挑戦していたかもなあ▼ぼけ防止に最適という俳句。高校生の時と比べれば頭はだいぶ固くなったが、苦手意識を克服し、まず一句詠んでみようか。(野)
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