桐生市内のある企業に取材でお邪魔し、経営者の方と雑談交じりに情報交換をさせていただいた。「この間、会社の世代構成を調べてみたんだ」と社長。聞けば、一番多いのが20代だったそうだ。地方の中小事業所ではなかなか実現が難しいことだし、ましてその会社は繊維関連なので、いい意味で驚きだった▼たしかに同社には個性豊かで優秀な人材が集まる。しかも公募していないのに、直接門をたたいたのも一人ではない。繊維産業に魅力を感じ、就職を希望する若者は今も少なからずいるが、そうした人たちを引きつける魅力があるということだろう▼「正直ちょっと苦しいなと思うこともあるけれど、会社を残すには技術の伝承が必要だから」。人員構成を把握しながら先を見据え、事業発展のために新しい種まきをしながら、大前提となる自社の技術ノウハウの引き継ぎを図っている。これぞ経営者だと感じた▼人口減の中、人材確保は課題になる。群馬経済研究所の調査でも従業員の平均年齢上昇と求人難が進行中の問題として多く挙がった。現状の対策は熟練者の活用が大勢だが、技術承継の点では根本的な解決にならない。中長期の展望と実行が必須だ。(悠)
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