マグニチュード(M)7・3、最大震度7を観測した熊本地震は、布田川・日奈久断層帯と呼ばれる内陸の活断層が震源だった。政府の地震調査委員会が予測したこの断層での地震の発生確率は「ほぼ0~0・9%」(布田川区間)だったにもかかわらず、現実に激しい揺れと大きな被害が発生した。桐生、みどり両市付近にも、少なくとも三つの活断層が存在する。専門家は「それらがいつ動くか分からない」と、熊本地震を教訓に注意を呼びかける。
地震調査委は全国の活断層とそれに起因する地震の発生確率についての評価結果を公表している。それによると、両市付近では「大久保断層」「太田断層」「深谷断層帯」の三つの活断層がある。
みどり市大間々町や桐生市新里町を東西に横切る大久保断層は、M7規模の地震の発生確率を▽30年以内に0・6%▽50年以内に1%▽100年以内に2%―としている。
桐生市の渡良瀬川右岸沿いから太田市南部に走る太田断層は、30~100年以内にM6・9規模の地震が起きる確率が「不明」。県南部から埼玉県北部に広く横たわる深谷断層帯は、M7・9規模の地震の確率を「ほぼ0~0・1%」としている。
群馬県は2012年6月、これらの活断層を踏まえた「地震被害想定調査」の結果を公表した。それによると、最大の被害が出るのは、太田断層でM7・1の地震が冬の午前5時に起きた場合。太田市で震度7、桐生、みどり両市で震度6強が襲い、両市で計91人が死亡、計1161人が負傷。計9509棟の家屋が全半壊し、2日後には計1万9524人の避難者が出る―と予測している。
大久保断層地震は想定しなかったが、地震調査委によれば、三つの活断層の中では発生確率が比較的高く、平均活動間隔も5000年程度と短くなっている。
同調査の検討委員長を務めた群馬大理工学部の鵜飼恵三名誉教授(67)=桐生市相生町、地盤工学=は「活断層は過去に地震が起きた証拠であり、次にいつ動くか分からない」と指摘。だが、地盤が軟らかい関東地方では活断層が地表に出ないケースも多く、どこにどれだけの活断層があるのか分からないという。
熊本地震を教訓に「地震はいつどこで起きるか分からない。建物の耐震化や、民間とも連携した指定避難所の増強、周辺他市とも連携した避難先の確保など、備えとしてやれることはやっておくべきだ」と警告する。
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