「まさかの事態ですよね。熊本でこんな被害が出るなんて」。熊本市に家族を残し、伊勢崎市の運送会社に勤めている神崎睦雄さん(51)は、故郷の大地震にまゆをひそめた▼地元で失業し、知人のつてで群馬に単身赴任中。お盆や正月には帰省していたが、今回はまさかの里帰り。桐生、みどり両市から被災地へ支援物資の飲料水を運ぶ役目を担い、複雑な思いでハンドルを握った▼「熊本は、水害への備えはあるけれど、地震は想定していない人が多いと思った」。非常勤講師を務める熊本市の大学へ桐生から通う小保方貴之さん(43)は、14日と16日の激震を直に体験した。被災直後から仲間とSNSで連絡を取り合い、安否や支援のあり方を探り続けた。機能不全の熊本から、見ず知らずの3人と一緒にタクシーで博多に脱し、ようやく帰郷できた▼調べてみると、熊本県内にはいまだ地震の避難マップを公表していない自治体もあるようだ。それだけ大地震は「想定外」なのだろう。改めて、地震はいつどこで起きるか分からないという教訓をかみしめる▼群馬は災害が少ないと言われるが、この列島に“聖域”はない。実際、桐生・みどり両市にも活断層が横たわっている。(成)
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