旧桐生広域圏から桐生、みどり両市へと続いていた合併論議は、約10年の紆余(うよ)曲折の末、再び白紙に戻った。石原条みどり市長が26日午後、桐生市役所に亀山豊文市長を訪ね、みどり市議会などに反対論が根強いことを理由に、今任期中の両市の任意合併協議会設置は見送るとの回答を文書で伝えた。合併を呼びかけてきた亀山市長は「非常に残念」とした上で、別の枠組みに含みを持たせる発言もしている。亀山市長はきょう27日午後に記者会見を開き、今後の方針を表明する予定で、発言に注目が集まる。
両市の合併をめぐっては、亀山市長が2007年に初当選以降、両市の連携市長会議の設置などを経て、14年5月と15年6月の2回、任意協設置を石原市長に要請してきた。
この間、14年12月には任意協の代替案として、合併を想定した事務レベル組織「新市建設研究会」を両市で設置し、今年1月にその研究成果を両市長に報告。これを受け、石原市長は2月に市内団体の代表ら、3月には市議全員に合併について意見を聞いた上で、今回の回答に至った。
石原市長は回答後の会見で、「大いに悩んだが、私の責任においてはこれが最終判断」と述べ、住民発議がない限り、18年4月までの任期中に行政主導で合併協を設置することはないとの姿勢を示した。
その理由について、市民団体からの意見聴取で合併賛成が4割、反対が6割で「反対が意外に多かった」と説明。さらに市議会の根強い消極論も挙げ、「任意協の次には議決が必要な法定合併協議会があるが、現在の市議会では可決の見込みはない。(合併の)話を進めても負担が増え、結果が出ないと予想できる」として、現状での合併は「民意を尊重したとは言いがたい」と結論づけた。
みどり市民に合併機運が高まらない要因については、「10年前の合併の疲労感が取れていない」と言及。「合併は本来、住民発議でやるべきもの」と述べ、民意の高まり次第との認識を示した。
今後については「(自治体として)自己完結できる規模は必要。もう少し大きな地域のほうが活力があるのかなと思う」と持論を展開。別の枠組みでの合併に含みを残した。
石原市長から回答書を受け取った亀山市長は両市長会談後、記者団に対して「ずっと合併を標榜(ひょうぼう)してきただけに(任意協設置見送りの)回答は非常に残念」と感想を語った。
さらに「(回答はみどり市長が)熟慮を重ねた結果。回答の内容をよく読んで、これからの桐生市の進む方向を検討し、なるべく早い時期に会見したい」と述べた。
新たな合併枠組みを模索する考えについて問われると、「みどり市だけに固執する必要もないかなと。その辺も含めて検討させていただきたい」と含みを残した。
県境を越えた枠組みを探る可能性についての質問には「あるかもしれない。自分が生まれ育ったのも県境を越えたところ(旧栃木県菱村)なので」などと答えた。
その一方で、それ以上の具体的な枠組みについての質問には「まあそこまでで。今度の会見でぜひ質問していただければ」と述べるにとどまった。
会見はきょう27日午後3時半から同市役所で開催予定。亀山市長がみどり市からの回答に対する認識と、桐生市の今後の方針について表明する。
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