繊維製品企画販売のベンチャー企業と老舗着物機屋の連携で、サンリオの「ハローキティ」を地紋にあしらった正絹の着物が完成した。桐生織の技術を駆使し、織りによるキャラクターの忠実な表現と普通に身につけられるさりげなさとを両立させた。着物に合わせる帯も秋をめどに発表の予定だ。
着物をつくり上げたのは、「i4(アイフォー)」(桐生インキュベーションオフィス内、石橋進代表)と泉織物(桐生市東五丁目、泉太郎社長)。両者はアニメなどのコンテンツを活用して地場産業である繊維業界で新しいものづくりを模索する有志で組織した桐生商工会議所のプロジェクトに2014年度参画。実現に向けた研究を重ねていた。
キャラクターと桐生織との協業を掲げて独自のものづくりを進める「mon・e(モンエ)」ブランドを立ち上げた石橋さんは、メーンの顧客層に定める30代を中心に幅広い年代から支持を集める「ハローキティ」に着目。泉社長と二人三脚で14年12月からものづくりに取り組んでいた。
試行錯誤の上に完成した着物は、落ち着いた色調のピンクと白が基調。ぼかし織りで色の濃淡を加えている。縦3・5㌢、横4・5㌢の大きさでキティちゃんの地紋を入れた。白ベースの7色の経糸(たていと)を浮かせて柄を出しており、見る角度や光の加減で色合いが微妙に変化する。泉さんは「本格的に着られる着物として、金額に見合う価値を織り込んだつもり」と自信をみせる。
「泉さんのつくる着物の優しい色合いがコンセプトに合っていて、どうしてもお願いしたかった。上品にさりげなくハローキティがいる。この奥行きはプリントでは表現できない」と石橋さん。「第2弾、3弾も考えていく。着物は伝統柄という固定概念を打ち崩し、和装業界にイノベーション(革新)を起こせたら」と意気込む。今後もコンテンツを用いた本格的な繊維製品を展開する予定だ。
価格は32万1840円(税込み)。このほかに、がまぐちとポーチ2種類(2052~6372円、同)も商品化した。「mon・e」の専用サイト(http://www.mon-e.pink/)で販売する。
問い合わせは「i4」(電0277・46・8402)まで。
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