Quantcast
Channel: ウェブ桐生タイムス
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2430

動かせる涼空間づくり、実証実験スタート

$
0
0

 猛暑の開催が懸念される2020年東京オリンピック・パラリンピックで選手や観衆を熱中症から守ろうと、動かせる樹木システムで涼空間をつくり出す実証実験が、東京都江東区の東京ビッグサイトでスタートした。東京都農林総合研究センター(農総研)と群馬大学大学院理工学府が協力し、14年から継続している取り組みで、今夏の実験では、車いす利用者など障害を持つ人にも使いやすい新型ベンチに焦点を当て、9月いっぱいまで基礎データを採取する。これまでの実験で、熱中症の危険度を下げる効果については数値的な裏付けが得られたほか、樹木システムの基本設計はほぼ完成している。

 農総研と群馬大学大学院理工学府の天谷賢児教授らのグループでは、コンテナを使った樹木とミスト(霧)の発生装置、それにベンチを組み合わせた“動かせる涼空間”の開発に取り組んでいる。

 樹木による木陰とミストの気化熱で、体感温度はどれだけ下がるのか。天谷教授らは昨年までにデータを収集。何もないベンチに比べ、木陰で7・1度、木陰+ミストで11・1度の低減効果が確認されている。また、熱中症危険度の目安とされる「暑さ指数」も下がり、何もない空間に比べ、木陰+ミストで危険度は6分の1に低減することも分かった。

 今回の実験では、車いすの利用者やベビーカーを押す保護者らが利用しやすいユニバーサルデザインのベンチを製作。ビッグサイト駐車場の一画に6基のシステムを設置し、7月1日から9月末まで数値を採取、障害者や乳児の快適性を確認する。

 また、ビッグサイト2階のエントランスには、これまでに製作したモデルタイプのシステム40基を設置。実際に利用してもらうことで耐久性などを確認、アンケートで課題を探る。

 東京都多摩産の木材と東京産の植木を活用しているが、ベンチの設計・製造には群馬県森林組合連合会が協力。みどり市にあるわたらせ森林組合も製造にかかわった。また、コンテナ上部の布には朝倉染布製の超撥水(はっすい)布を利用するなど、地元事業者も大きく貢献している。

 天谷教授は「さまざまな事業者に協力をいただいている。実験の成果が生かされ、快適な五輪の開催に役立てば」と話している。
関連記事:


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2430

Trending Articles