ポケモンGOというゲームが流行している。
まちの中を歩きながらスマートフォンのカメラを風景にかざすと画面の中にコンピューター映像のポケットモンスターが現れるので、道具を使ってそれを捕獲する。出現するポケモンの種類は場所によって異なる。ゲームをする人は移動しながらポケモンを探しては、それを捕らえて図鑑を完成させる。捕らえたポケモンを育て、他人のポケモンと対戦させることもできるのだという。
スマホを所有していない身なので、ゲーム自体を試したことはないのだが、先日、ゲームを楽しむ大学生たちに話を聞きながら、なんとなく昆虫採集のようなものを思い浮かべていた。
研究の合間、気晴らしの散策ついでにゲームを楽しんでいるのだと、学生たちは話した。先行して配信が始まった米国での熱狂ぶりが映像で紹介され、日本での配信を楽しみにしていたのだという。スマホのカメラ、GPSと呼ばれる位置情報機能、地図データなどを巧みに組み合わせている点や、何より実際に自分が移動をしないとゲームが進展しないという点が、ポケモンGOの新しさではないかと、彼らは教えてくれた。
ゲームをするには最新の基本ソフト(OS)を搭載したスマホが必要になる。集まった学生たちからは、一世代前のOSなのでアプリをダウンロードできないといった声も耳にした。ポケモンGOのために、新しいスマホに買い換えた学生もいるのだという。学生にとって、決して安くはない買い物のはずだ。
相互交流の通信手段が発達する中、速さと“のり”のよさが重視される学生世代である。時流に乗るために、周囲とうまくつきあうために、ゲームもまたコミュニケーションの道具として巧みに利用する。キャンパスの池のほとりに集まり、スマホの画面をのぞきこみながら、「出た」「また出た」と盛り上がる学生たちの姿に、そこに加われない学生もいるのだろうと、つい想像する。つながりが重視される時代だからこそ、のれない人たちの中には、苦い思いをしている人もまたいるはずだ。
歩きスマホで高速道路に侵入した。自転車や自動車を運転しながらゲームをして取り締まりを受けた。ゲームにまつわる事件が連日報告されている。今後私たちの周りにどのような影響が出るのか、見極めてみたい。
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