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雪国の気炎

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 東京オリンピックの聖火台に火焔型土器を―という運動がある。新潟県唯一の国宝で、激しく渦巻く強い情念を思わせるような土器は「縄文雪炎(ゆきほむら)」とも称される。日本文化の源流であり、聖火台がどこになるかはさておき、世界中の注視を浴びる祭典のシンボルにふさわしい、かもしれない▼十日町市博物館が常設展示する。国宝に指定されたのは928点もの笹山遺跡出土品で、立体的な造形美に優れた有名な一点だけではないのだ。さらに信濃川流域にはすぐれた土器群が発掘されて、60件の構成資産で今春、日本遺産に認定された▼タイトルは「『なんだ、コレは!』信濃川流域の火焔型土器と雪国の文化」。「なんだ、コレは!」とは、原始の芸術性の発見者、岡本太郎の言葉という。博物館のジオラマではアンギンを着て耳飾りや首飾り、足ひもで魔除けをした女性が粘土を成形していた▼耳飾りは桐生の千網谷戸遺跡出土品に及ばずシンプルだが、苧麻を気の遠くなる手間暇で布に編むアンギンが残ったのは、この地のみ。技術は今に伝承され、子ども向けの体験会もある▼きちんとした収蔵庫と学芸員と展示施設と市民の支援があれば、地域固有の知恵が生かされる。(流)
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