「本なんて読まなくたっていいのだけれど、」。そんな挑発的なタイトルが目に留まり、本棚からその一冊を手に取ってみる。すると、側面の帯に「読んでみるのもいい。」との大きな文字。本の作り手にシテヤラレタと、思わずニヤリとしてしまった▼本屋が好きだ。本を読むのも好きだが、もっと好きなのは本屋めぐり。本棚に並ぶタイトルをあてもなく眺める。なんとなく気になって手にする一冊。そこから思わぬ世界が広がっていく。これが楽しい▼桐生市本町一丁目の旧早政織物工場に事務所を構え、地図デザインの仕事をしている齋藤直己さん(38)。特色ある本作りに取り組む小出版社を中心に、約1年半前から事務所内で毎週金曜日、珍しい本を並べた書店「ふやふや堂」を営んでいる▼そんな一風変わった本屋が集まり、一風変わった本を売る初イベントが、きょうからあすまで同市仲町三丁目の伊東屋珈琲2号店で開かれている▼「自分の世界に閉じこもりがちで、興味の幅が広がりにくい時代。本屋で偶然出合った一冊の本から、世界が広がっていく喜びを感じて」と齋藤さん。冒頭の風変わりな本(幅允孝著、晶文社)も、きっと本棚のどこかに並んでいるはずだ。(針)
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