2013年の冬のある日、桐生第一高校サッカー部のグラウンドで、鈴木武蔵選手=アルビレックス新潟=と会った。当時19歳。アンダー(U)21日本代表のフォワードとしてオマーンでのアジア選手権に向かう直前、母校に立ち寄り、後輩たちと一緒に体をほぐしていた▼精悍な顔立ち、引き締まった体。一見、身構えるのだが、ひとたび言葉を交わせば、礼儀は正しく、いたって謙虚。その日の練習前の立ち話でも、全国大会に向かう後輩たちへのエールに続き、フォワードでレギュラー争いを繰り広げるU21日本代表に対する強い思いも語っていた▼「ライバルには負けたくない。出場したすべての試合で点を取りたい」。点取り屋らしく気の強い言葉のあとに、「リオデジャネイロ五輪での代表入りも目指します」と、その先の目標も見据えていた。昨日、思わぬ格好でリオ五輪の代表チーム入りが決まったと聞き、3年前の彼のことを思い出した▼けがに泣かされ苦しんだと聞く。それでもあきらめず、こつこつと準備して、最善を尽くした。だからこそ、小さなチャンスを逃すことなく、しっかりつかむことができた。間もなく開幕するリオ五輪で、彼の雄姿をぜひ見てみたい。(け)
関連記事:
↧
五輪の武蔵
↧