わたらせ渓谷鐵道の各駅を電飾で飾るイルミネーション事業が、存続の危機を迎えている。沿線住民らが実行委員会形式で主催する恒例行事だが、12回目を迎える今年度の協賛金が目標の6割しか集まらず、このままでは今年限りで終わる可能性が高いという。わ鐵にとっても乗客が減る冬場の目玉として、誘客に貢献してきただけに影響は少なくない。実行委は「来年度以降も続けていくため、ぜひ協賛金集めに協力を」と呼び掛けている。
同事業は、わ鐵の存続を願う沿線住民や支援団体らでつくる実行委員会(松島茂委員長)が、冬場の沿線の魅力アップを兼ねて2004年度から毎年開催している。
ボランティアで各駅にイルミを飾り付け、冬期間(12月上旬~翌年2月末)の夕方から夜にかけて点灯。地域を挙げた活動が多くのメディアで紹介され、今年5月には地域づくりの模範として県総合表彰を受賞している。
イルミの購入費や維持管理費などの開催経費(桐生駅北口、大間々駅前は別事業)は、協賛金と補助金(県25万、みどり市6万円)で賄う予定。しかし今年度は協賛金が目標100万円を大きく下回り、前年度繰越金約30万円を含めても約60万円にとどまっている。
発足後12年が経過して実行委メンバーが高齢化し、協賛金集めがままならなくなってきたことに加え、沿線住民主体の活動への理解が時間とともに薄れつつあることも原因の一つではないかと、実行委は推測している。
今年度の事業については予定通り開催するが、協賛金の不足分を実行委幹部が自腹で穴埋めせざるを得ず、このまま協賛金が集まらなければ来年の開催は難しい状況という。
わ鐵にとっても各駅イルミは乗客数が落ち込む冬場の目玉で、クリスマス列車など人気企画列車の車窓を飾る不可欠な要素でもあり、開催断念となればダメージは大きい。
実行委員会の神山登事務局長は「地域住民が長年にわたり盛り上げてきた貴重な活動を終わりにしたくない。来年以降も継続できるよう協賛金集めにぜひ協力をお願いしたい」と呼び掛けている。
今年度の点灯式は12月6日午後3時半から相老駅(桐生市相生町)で行われる。小中駅を除く16駅で、午後5時から最終列車通過まで点灯する。期間は来年2月29日まで。
協賛金は個人1口1千円、企業団体同5千円。問い合わせは実行委事務局の水沼駅温泉センター(電0277・96・2500)へ。
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