本を自由に借りることができ、返却日の指定もなし。他店に返してもいいし、メッセージを添えて返したり、気に入った本を加えてもいい―。そんなユニークな仕組みの“まちなか本箱”を店頭に置き、本箱めぐりで街歩きを促す取り組みが、桐生市中心街で広がり始めている。本町の雑貨店が始めた取り組みを、賛同する商店主有志が広げたもの。商店街組合やデザイン事務所、子育て世代交流拠点なども手を挙げ、11月3日の本格スタートを目指して準備を進めている。
まちなかの店に誰でも利用できる小さな読書スペースを設け、メッセージを付けた本の貸し借りを通じて交流し、中心街の活性化につなげようというのが狙いだ。
本町二丁目で雑貨店「きりん屋」を営む大谷知子さん(47)が、4月の開店時に約20冊の本を店頭の本箱に置いたのがきっかけ。本の貸し借りや追加を楽しむ来店者が多く、約半年間で50冊以上に増えた。
この取り組みに、本を通じたまちおこしを模索する商店主らが賛同。桐生のまちなかに取り組みを広げようと、賛同者有志が9月30日に初会合を開き、“まちなか本箱”と題して大まかな仕組みを決めた。
参加店は店頭に“まちなか本箱”(種類や大きさは自由)を用意し、いらなくなった本ではなく、おすすめの本を並べる。来店者は自由に持って帰れて、返却期限は設けない。
返す先は借りた本箱でも別の本箱でもよく、読んでもらいたい本を本箱に追加してもいい。次に読む人へのメッセージや本の感想を書く専用のしおりも用意する。
現時点で参加を決めているのは、きりん屋と本町六丁目商店街振興組合(多田和生理事長)、本町一丁目の週1日限定書店「ふやふや堂」(齋藤直己マップデザイン研究室代表)、本町五丁目の子育て世代交流拠点「ココトモ」(星野麻実NPO法人キッズバレイ代表)。
このほかにも参加検討中の店や事務所、商店街や商店会があり、11月3日の本格スタートまでに参加店は少なくとも十数店に増える見込みだ。
賛同者有志は「多くの店が参加しやすいよう緩やかなルール設定にした。桐生発の新たな取り組みに、ぜひ多くの店に参加してほしい」と呼び掛けている。
“まちなか本箱”についての問い合わせは、本町六丁目商店街振興組合(電0277・46・4178)か、きりん屋(電080・4870・8213)、ふやふや堂(電0277・32・3407)へ。
関連記事: