ちょうど1年前の当欄で、笠懸小学校の「復興ヒマワリ活動」について書いた。東日本大震災の被災地から譲り受けたヒマワリの種が善意の輪を広げている―という趣旨だった。あれから1年。その輪はさらに広がっている▼同小の金子淳二前校長が福島県南相馬市から2粒の種を持ち帰り、児童らと育て始めたのが2012年。最初の花から1250粒、翌年には9168粒と増え、5年目の今夏に収穫した種はもう数えきれない▼重い障害をもつ仙台市の詩人・大越桂さん(27)に贈った種は「ひまわりの花畑」という詩になった。清水直海校長が音楽ユニット・ポワゾンに作曲を依頼してこれを「第2校歌」にし、今年はこの歌に手話がついた。全校児童が手話で合唱するのが目標だ▼同小の元教諭・羽鳥美惠子さんは、最初に咲いた2輪の花のスケッチをもとに大きな油絵を描き同小に贈った。「みんなが震災を忘れても、笠小の子たちは忘れない」。清水校長は力強く言った▼活動が土台になっているのだろう。4月に熊本地震が起きると、同小のJRC委員会はすかさず全校に義援金を呼びかけ、あっという間に15万4078円を集めた▼ヒマワリの種は、思いやりの心という“根”も育てている。(成)
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