近年、寺や神社で墨書・押印される御朱印を集める人が増えているという。記者も学生だった20年ほど前、朱印帳を手に観光気分で寺社巡りをしたことがある。大学が関西にあったので在学の思い出にと京都を中心に奈良や四国を回った▼住職や神職に朱印帳を手渡すと、一文字ずつ丁寧に筆を運んでくれる。印章も個性に富み、日付が入るので参拝の記念にもなった。わが朱印帳は京都の東寺で購入したもので、1㌻目に力強く弘法大師とある。お気に入りは寺社ではないが嵯峨野の落柿舎で、向井去来の句に柿の朱印が押され、繊細な雰囲気があるので女性に人気のようだ▼ブームとなるとスタンプラリーのようになったり、もとは300円程度のものに1万円もの高値が付いてインターネットで売られていたりもするとか。集まった御朱印を見るのは楽しいが、目的が「収集」になってしまわないよう秋の行楽シーズンに自戒を込めたい▼ある寺によると御朱印は平安時代、人々が霊場を巡礼する際、写経をして寺に納め、祈願した証しに宝印をいただいたことが始まりだという。今は納経せずにもらえるので楽だが、「命が尽きたとき、お棺の中に入れてもらってください」とのことだ。(里)
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