暗がりの中、ろうそくの灯りがともってゆく。闇から生まれて一つ一つ増える光は絶え間なく揺れていて、でも強く明るく、確かにあたたかい▼桐生准看護学校の戴帽式で行われる「キャンドルサービス」は基礎学習を終え、臨床実習に臨む生徒たちが厳かなろうそく灯りの中で「ナイチンゲール誓詞」を唱和し、これからの研鑽を誓う▼毎年見ていると同じ式典でも少しずつ変化を感じるもので、それは社会の変化に結び付く。今、生徒たちに向けた訓辞には「介護」の言葉が多く使われて、看護師の活躍の場は病院にとどまらず高齢者介護施設、訪問看護、地域の相談窓口など、多様化が進んでいると再確認▼今年は看護師の守秘義務の重要性に触れ、ツイッターやラインなどインターネット上のサービス利用に慎重を期すようにとの内容も。ここ数年取材していて初めてのことで、そういう時代なのだなと実感した▼だけど、どんなに社会が変化しても変わらないものがあって、それは生徒たちの凜とした表情とか、ろうそくを消す一糸乱れぬ動きとか、その衣擦れの音と直後の暗闇と静寂とか。つまり、儀式での誓い、看護への志はそのままに引き継がれていて、とてもかっこいいのだ。(並)
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ろうそく灯り
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