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気兼ねなく過ごせる場を、梅田一に「みんなの茶の間」

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 高齢者交流サロン「みんなの茶の間」が8日、桐生市梅田町一丁目の長沢石油そばにオープンした。独居の高齢者をはじめ、だれもが気兼ねなく過ごせる場所をつくろうと、NPO法人桐生市ボランティア協議会(宮地由高会長)が運営する取り組みで、鳳仙寺の所有する空き家を改装した。ちょっとくつろいだり、おしゃべりしたり、レクリエーションを楽しんだりと、使い方はいろいろ。利用は無料で、コーヒー・紅茶は100円のセルフ、400円でランチも食べられる。「長年温めてきた事業。これを試金石に他地域でも展開できれば」と、宮地さんは話す。

 年齢を重ねて一人暮らしになっても、住み慣れた地域で自分らしい生活が送れるよう、ボラ協では8年ほど前から、高齢者の居場所づくりについて研究・研修を重ねてきた。

 2010年には、新潟市で「地域の茶の間」づくりに取り組む河田珪子さんを招き、地域の誰もが気軽に利用できる居場所を設けることで、孤独の解消や情報の共有、新しい人間関係の創出につながる事例を学んだ経験も。

 今回オープンした「みんなの茶の間」は一般住宅を改装したもので、新たに床を張り替えた洋間など3部屋にキッチン、トイレといった間取り。

 旧天神町三丁目とも隣接しており、おりひめバスの梅田町一丁目と天神町三丁目のバス停のほぼ中間に位置する。

 7日には内覧会を兼ねた開所式が行われ、運営するボラ協の役員や桐生市第10区・14区の区長、各町会長、民生委員、児童委員、市保健福祉部長らが顔を合わせ、一緒にランチを食べて開所を祝った。

 高齢社会の到来に合わせ、誰もが住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、各地で地域包括ケアシステムの構築が進む。「みんなの茶の間」のような民間団体が運営する常設型の交流拠点は、いわばそれを側方支援する仕組み。

 利用時間は午前10時~午後4時で、土・日曜、祝日は休み。ボラ協のスタッフや近所の女性たちが交替で常駐する。日替わりランチは肉・魚定食とも400円、持ち込みも可能だ。

 11月のイベントは初心者麻雀(マージャン)教室(9日午後1時から)や写仏(14日午後1時から)、懐かしの映画会(16日午後1時から)、天ぷらそば会食(22日、限定20食)など。いずれも予約不要で、希望者は直接会場へ。

 宮地会長は「全員ボランティアなので、イベントのお手伝いなど、支援は大歓迎。誰もが気兼ねなく立ち寄れる場になれば」と期待を寄せている。

 問い合わせは桐生市ボランティア協議会(電0277・55・0170、ファクス0277・70・6789)へ。
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書を捨てずに

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 出先の帰りに立ち寄った古書店で目にした、「大英博物館」と背表紙にある書籍。目線を下げると、「日本語」とある。気になって、本棚から取り出してみた▼2枚重ねて貼られた値札は「¥500」。ちょっとよれているし、値下がりしたのだな。その横に貼られた丸いシールには、「£6」。あれ?と思い、奥付を見たら、「大英博物館出版局」とあった。どうやら、世界に冠たる大英博物館の日本語版ガイドのようだ。一も二もなくレジに向かった▼海外渡航経験のない収集癖のある男にとっては、大英博物館といえばあこがれの地。そこの本物のガイドブックに、遠く離れたこの地で出合えるとは。その昔、「書を捨てよ、町へ出よう」と言った人がいたが、犬も歩けば棒に当たる、外に出ればいろいろな出会いがある、ということなのだろう。外へ出て、望外の書に出合ってしまうのだから▼店を出る。日が陰った午後の空気は驚くほどひんやりしていて、いやが応でも「もう11月だなあ」と感じざるを得ない。ほのかに漂う、いぶったにおい。刈り取りで出たわらくずでも燃やしているのか、冷たい空気の中でかぐこの香りは、秋の終わりを実感できて、心地よい▼ああ、これも、外に出たからこそ、なのだな。(篤)
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アムコの佐藤明斗さん金賞、アビリンピック表計算部門で群馬県初

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 山形県で開かれた第36回全国障害者技能競技大会(アビリンピック、高齢・障害・求職者雇用支援機構など主催)で、ミツバ特例子会社のアムコ(桐生市相生町五丁目、武藤春喜社長)に勤務する佐藤明斗さん(29)=同市相生町一丁目=が表計算部門で最優秀の金賞に輝いた。同大会での金賞受賞は、県が1973年に選手団の派遣を始めて以来、初めて。山形鋳物でできたメダルを手に、佐藤さんは「ずっしりきました」と喜びをかみしめている。

 この大会は、障害者が技能を競い合うことによって職業能力向上や雇用の促進を図る趣旨で72年から開かれている。今年は10月28日から30日まで開かれ、県は5職種に5人を送った。

 北海道釧路市出身の佐藤さんは、父親の仕事の都合で玉村町に転居。今年1月にアムコに入社し、3カ月の試用期間を経て、4月から正社員に。就職を機に桐生市内に引っ越した。会社ではCAD(コンピューター利用設計)で、紙の図面から2次元や3次元の図面データを製作する業務に就いている。

 表計算の競技は、提供されたデータを基に、75分間の制限時間で集計やグラフ作成など所定の課題を終えるもの。佐藤さんは40分あまりで全作業を終え、主催者の講評でも「完璧だった」と絶賛される内容で出場25人中トップの成績を収めた。

 大会の2カ月前から1日2時間、2週間前からは同4時間の練習を積んだ。「金賞に決まってびっくりしましたが、練習していたのと近い課題が出て、結構いける手応えがあった。大変でしたが報われました」と振り返る。人生初の金メダルは「見た目はあまり大きくないけれど、ずっしりきた。これが金メダルなんだなと思いました」と笑う。

 全国大会は他の職種であれば出場可能。佐藤さんは「また機会があれば、今度は機械CADに出てみたい」と、さらなる意欲をみせている。
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上毛かるたで「せんべい」、「群馬の新しい土産に」

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 桐生市や群馬県の新しい土産物にと、コピーライターの星野智昭さん(40)=広沢町二丁目=が、上毛かるたの絵柄をせんべいに取り入れた「上毛かるたせんべい」を考案し、発売した。「県外の人や群馬出身者への贈り物に使ってもらえたら」と話す。

 もともと桐生出身の星野さんは広告制作会社勤務の後に独立。東京都内で生活しながら仕事をしていたが、子どもが生まれたのを機に「子育ては地元で」と、昨年末に一家で引っ越してきた。

 せんべいの開発は「桐生や群馬をもっと広めたい」との思いから。かるたの絵札を基にデザインを再構成し、植物性の材料でプリントを施して焼く。表面が絵札、裏面が読み札。老舗せんべい店に生産委託し、原料の米は黒保根産コシヒカリを使った。

 商品には、しおりでかるたの説明も添え、ひも部分に県産のきびそ(カイコが繭をつくるとき最初に吐く糸)を用いるなど細部まで地場産にこだわる。「土産話と一緒に群馬の魅力を伝える」のが狙いだ。都内に事務所を構える前橋出身の仲間のデザイナーにも協力を仰いだ。

 柄に用いたのは、桐生の「き」のほか、群馬の形を読んだ「つ」、高崎だるまの「え」、富岡製糸場の「に」の4種類。「群馬の新しい土産として、まずは県内から育てていきたい」と話している。

 現在は「わびさびや」(新宿三丁目)で販売中。3枚1セットで価格は480円。贈答用にも対応する。
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所変われば

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 豆腐の調理で毎度悩むことがある。水分だ。基本的に大豆と水でできている食品なのになぜかというと、みそ汁やマーボー豆腐などでなく、ステーキとして焼くのに限った場合だ。重しを使って水を抜いても、フライパンで熱をかけたときにどうしても水気が出るのが面白くない。重しの重量で傾いて崩れたり変形したりするし▼世界的な和食人気が続いている。ドイツでも豆腐は一般家庭に食材として浸透しているのだそうだ。リモコンボタンをいじってテレビをザッピングしていると、日独の職人がうまい豆腐づくりで一騎打ちする番組をやっていたので、何気なく眺めていたら、ドイツ人の職人が言うのには、同じ豆腐でも作り方が全然違うのだという▼いわく、ドイツのは水分が少なめで、かたい。どうしてかというと「肉の代わりに使うから」。近い食感を出すために、そのような製法が主流だと説明していた。「大豆は畑の肉」と例えられるけれど、まさにその役割を果たしているわけ。所変われば品変わるである▼ステーキ派としては、肉のような豆腐がうらやましい。すき間もすき間だろうけど、それなりに需要はあると思うんだけどなぁ。(悠)
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桐商ビジネス研、被災地産で商品開発、「かつおコロッケ」磨く

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 東日本大震災で被災した岩手県・陸前高田産のカツオを使ったコロッケの商品開発に、桐生市立商業高校ビジネス研究部が挑んでいる。放課後の数時間が勝負。カツオの臭みの取り方、材料の配分比率、塩加減…。プロの意見に耳を傾け、試作を重ねてレシピを固め、コストを計算して販売価格を決める。継続的な被災地支援と新たな桐生名物の誕生を目指し、目下作業の真っ最中。まずは26、27日の「ウマいもん合戦in桐生」で来場者の舌にアピールする予定だ。

 東日本大震災後、桐商野球部が陸前高田市の県立高田高校野球部を招いて激励の練習試合を行ったことから始まった同校の被災地支援。ビジネス研究部では今年度、継続的な支援を掲げ、現地の物産をビジネス展開する仕組みづくりに挑戦している。その一つが現地で水揚げされたカツオを使った「かつおコロッケ」の開発だ。

 桐生飲食店組合青年部メンバーで「おち。」を営む落合俊之さんの協力を受け、すでに料理の“骨格”は完成しており、7月の桐商キズナフェアでも独特のうまみが好評だった。

 これを商品化できないか。ビジネス研究部のかつおコロッケ班では、コストの削減や、さらにおいしい味を求めて活動を開始。10月31日の放課後、生徒5人が「おち。」に集まり、落合さんの指南を仰ぎつつ、カツオ独特の臭みを除き、ジャガイモやタマネギの配分を変え、塩・こしょうのあんばいを自分の舌で確かめ、レシピづくりに挑んだ。

 慣れない調理に四苦八苦したが、揚げたてのコロッケを味わう表情は真剣そのもの。「塩が少し強いが、カツオの臭みが薄れて風味が出た。ジャガイモを増やしたことでほくほく感が強調された」と、まずまずの手ごたえ。この日のレシピをベースに、さらに「かつおコロッケ」を磨くという。

 かつおコロッケ班の周東樹さんと山田武蔵さん(ともに桐商2年)は「ウマいもん合戦で販売して反応を確かめたい」と話しており、今後、新たな商品名や商品化への企画書なども手掛ける予定。被災地支援と桐生の新名物づくりへ、頭も体もフル回転だ。
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笠懸西部幹線、来年度暫定開通へ 藪塚ICと50号直結

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 みどり市笠懸町西部で工事が進んでいる、北関東自動車道・太田藪塚インター(IC)と国道50号を結ぶ4車線道路「笠懸西部幹線」(県道大間々世良田線バイパス)。事業主体の県桐生土木事務所は現在、用地買収と並行して、JR両毛線をまたぐ跨線(こせん)橋の建設を中心に進めており、2017年度早々にも跨線橋の架設工事を行う方針。同年度中に同ICから50号の現道までが暫定開通する見通しだ。

 笠懸西部幹線は、藪塚ICと県道桐生伊勢崎線を結ぶ「藪塚西部幹線」(県道大原境三ツ木線)の北側の延伸部分で、伊勢崎線から国道50号バイパス予定地までの全長3・4キロ(うち笠懸町内は2・9キロ)に基本幅員22・75メートルの4車線道路を新設するもの。

 伊勢崎線「大原上西」交差点から北上し、セーブオン笠懸久宮店付近で緩やかに左にカーブ。JR両毛線の第三前鹿田踏切西側で立体交差し、50号「杉菜原」交差点(ファミリーマートみどり笠懸店角)の西側で平面交差する。50号の北側は右にカーブしつつ、百品神社西側で50号バイパス予定地に至る。

 09年4月に都市計画決定し事業着手。10年度末から用地買収、14年度から工事が始まり、15年度にはJR跨線橋の橋脚2基が完成。今年度は跨線橋へのアプローチ(傾斜路)の建設が進んでいる。

 全体の事業費は65億円。15年度末現在の進捗(しんちょく)率は事業費ベースで74%、用地ベースで92%。同事務所は17年度末までに50号の現道まで完成させたい考えで、「4車線の全線開通は難しいかもしれないが、暫定2車線でも開通させたい」としている。
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天皇陛下とライスカレー

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 天皇陛下は皇太子時代を含めて、桐生を何度も訪れている。

 初めは1954年夏、これは公式なご訪問ではない。軽井沢から那須に向かう途中、ご休憩のために「市役所の応接間を貸していただけないか。お弁当は持参するから」と、じつに遠慮がちな申し出であったという。

 報告を聞いた当時の前原一治市長は「将来の天皇になる人が市役所の応接間を借りて持ってきた弁当を食べるなんて、それはないだろう」とつぶやきながら県の秘書課に折り返しの電話を入れ、「妹が料理の関係をやっている。こちらで用意して差し上げるから遠慮なく来てほしい」と伝え、準備を整えた。

 8月6日、皇太子さまは水道山記念館に到着され、市長と北野知事と歓談されながらのご昼食になったと、こう話してくれたのは件の電話を取り次いだ元市職員の澤田一二さん。本紙連載「タイムマシンにおねがい」で三笠宮さまの桐生エピソードを語ってくれた人である。

 その日、妹の前原治子さんが用意したのはライスカレー。皇太子さまはおかわりし、那須の帰途にも水道山記念館でライスカレーを召し上がったという。

 澤田さんは6日の写真撮影の際に、ポーズは求めない約束事があったのに、ベランダに出た皇太子さまに「殿下、誠に恐縮ですがもう少し前に出ていただけますか」とお願いしてしまった。皇太子さまは笑顔で応じられ、後で注意も受けなかった。

 戦前の34年、桐生では昭和天皇誤導事件が起きている。桐生高工の撮影班だった周東隆一さんはむかし、あの張り詰めた空気の中で、細心の注意を払ったにもかかわらず同行の警備にとがめられたと、語ってくれた。

 天皇制と私たちの関係性が時代と共に大きく変わってきた事実は、そうした地元の歴史にもはっきりとみることができる。

 皇太子さまはその後2度、天皇に即位されてからは99年と2014年、皇后さまとご一緒に桐生市を訪問されている。そのときの記念写真はたくさんの市民が持っていることだろう。それがいまという時代なのだ。

 むろん桐生だけでなく、全国の多くの人が同じような思いを温めている。そして、こうした関係性の礎をなしているのが天皇陛下の現代のご公務である。

 天皇陛下の退位などを話し合う「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」のヒアリングが、7日始まった。
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同名のよしみ

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 五輪メダルをあんなに近くで見たのは初めてだった。しかも、あのボルト選手のジャマイカと競った末の銀メダル。遠い世界の出来事が一気に身近になった▼リオ五輪の陸上男子400メートルリレーで銀メダルを獲得した桐生祥秀選手(20)。所属する東洋大が先月都内で開いた五輪報告会に、同名のよしみで応援を続ける桐生観光協会役員らと出席した▼約700人の関係者が熱い視線を注ぐステージ上で、同大五輪選手団の一人としてあいさつする桐生選手。あまりの場内の熱気に、お祝いの酒を持参した桐生観光協会の役員が桐生選手と言葉を交わすのは難しそうだった▼そこで奮闘したのが、桐生市新里町在住で同大陸上競技部OB会名誉会長の小池文司さん(79)。まだ式典は続いているのに、桐生選手を笑顔で手招きし、ステージの隅に呼び寄せる▼すかさず桐生観光協会の役員が声をかけ、桐生選手に祝いの品を手渡して写真撮影。だから10月22日付本紙16面の掲載写真は、桐生選手がしゃがんでいるように見える。実はまだ式典中のステージ上だったのだ▼「桐生の名前を広めます」と熱っぽく語ってくれた桐生選手。次は日本人初の100メートル9秒台を心待ちにしている。(針)
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桐一高調理科有志「桐生スープ」開発、「かかあ天下」で振る舞う

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 日本遺産認定を記念し12日に開催されるイベント「かかあ天下―ぐんまの絹物語―in桐生」で、桐生第一高校の調理科有志が考案した「懐古(かいこ)桐生スープ」がふるまわれる。桐生の良さ、かかあ天下の力強さを一椀(わん)に盛り込んだ、あたたかなおもてなしだ。会場は共愛会館(桐生市本町四丁目)で、正午から200食限定。レシピも配布する。

 スープは調理科2年の小林航太郎さん、吉岡鈴菜さん、田中胡桃さんが試行錯誤の末に完成させた。3人とも桐生出身ではないので、その良さを調べ、繭に見立てたエビしんじょうや桑茶入りの卵豆腐、山の紅葉をイメージした紅葉形にんじん、そうめんの桐生織物、ちから強い十六穀米の具材に託し、澄んだだしで渡良瀬川を表現した。

 「食材でどう表すか、苦労しました」と田中さん。だしは昆布、かつお、ホタテ貝柱の3種を合わせる。何度も割合を変えて試作して行き着いた味で「それぞれのうま味の相乗効果で、おいしいです。彩りもよく、見た目も楽しめます」と小林さん。和食の道に進みたいという2人だ。

 指導に当たった渡邊純二教諭、有間裕二郎教諭は「卵豆腐は茶わん蒸しをアレンジするなど、これまで学んだことを生かしています」。田中さんは「いろんな人に食べてもらって、おおっと驚いて、ほっこりあたたまってくれるとうれしい」とも。カフェを持ちたいという吉岡さんも笑顔で接客し、1年生3人が加わって手伝う。

 当日はレシピも配布するので「お店で出してもらってもいいし、ぜひ家でもつくってほしい」と3人。翌週は高崎経済大学主催の「販売甲子園」に出場するチームで、こちらは「2連覇中なので負けられません」と、3連覇を目指して意気込んでいる。
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「テラリウム」ブランド化、アライ・サンズ「TERRA LAB」

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 園芸用資材や遊技機部品メーカーのアライ・サンズ(桐生市東五丁目、荒居良生社長)が、透明容器に植物を寄せ植えするテラリウムのキットでブランド化を図る。空気中の水分を吸収して生きるため、土を必要としない「エアープランツ」と呼ばれる植物類をベースに、ドライフラワーや宝石質の天然石などをパッケージングし、展開する。大手百貨店やホームセンターでの販売も進んでおり、引き続き販路を拡大していく考えだ。

 樹脂部品を本業とする同社は、経営多角化の一環で1994年に園芸分野に進出。これまでは農家向け容器などの生産を中心に手掛けてきたが、一般向け商材への本格進出を果たすため、流行のテラリウムに着目。デザイナーと協力し、「TERRA LAB(テララボ)」のブランド名で商品化した。

 桐生市本町のプラスアンカーで今春開かれたマルシェ(市場)で試験販売したところ好評で、これを機に売り込みを図り、三越日本橋本店での常設販売にこぎ着けた。植物や包装資材は県内メーカーを活用。容器を飾るハンモックのひもには、桐生の帯地を用いる予定だ。

 荒居社長は「オール群馬の商品として育てていく。展示のための木製什器(じゅうき)も自家生産しており、売り場丸ごとの提案もできる。カフェなどでテラリウムのワークショップも手掛け、浸透を図る。樹脂メーカーの利点を生かし、一点物の容器生産も請け負いたい」と話している。
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きっと大丈夫

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 先日、取材先に向かう途中に保育園の正門の前を通りがかった。近隣住人であろう年配の女性と園児が正門越しに何やら話をしていて、和やかな雰囲気。ぞろぞろ集まってくる園児たちはみんな笑顔で、その女性と日常的につながっているのだと知れて、ほっこりした▼福祉施設などに取材に行くと、最近はほとんどが「地域に開かれた場所に」を目指している。なかなか一筋縄ではいかなくて、特に7月に起きた神奈川県相模原市の障害者施設殺傷事件の後は安全対策強化とのバランスに苦慮していた▼「地域の人に気軽に出入りしてもらうことは、利用者が社会とつながる手段。また地域の人たちに障害への理解を深めてもらう機会にもなる」。そう話していたのは市内の障害者福祉施設。だからこそ、「相模原の事件で『地域に向かって開いていこう』という動きが鈍らなければいいが」と懸念していた▼「地域に開かれた施設」。文字で書くのは簡単だけれど、関係者たちはそれこそ細心の注意を払ってさまざまに取り組んでいる。そこには問題や困難も多いけれど、きっと大丈夫。子どもたちと地域の人が何気なく笑顔であいさつを交わす風景を思い出すと、そう思えるのだ。(
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天蚕アイテム、ブランド化へ 「千美天蚕」

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 「千美工房」を主宰し、桐生市川内町五丁目で天蚕飼育に取り組む松井定夫さん(63)が、自家生産した天蚕糸や糸を用いた品々をブランド化する。名称の「千美天蚕」を商標登録した。第1弾として桐生織物協同組合や県繊維工業試験場の協力を得て、扇子を商品化した。

 松井さんは原野を開墾してえさとなるクヌギやコナラ、モトミズナラを植え、独特の蛍光を放つ黄緑色の繭の美しさと希少性で「繊維のダイヤモンド」とも称される天蚕(ヤママユガ)の飼育に2010年から挑んでいる。

 天蚕から紡いだ糸で着物をつくり上げるのが長年の夢だが、1反の価格は高級車並みになる。「たくさんの人の手元に届く品物を手掛けたい」と、服飾品などの商品化と独自のブランド名をつけた展開を決めた。商標の「千美天蚕」は、文字とともに3粒の繭から糸を引き出す様子をデザインに取り入れた。

 扇子の扇面は、天蚕のよさを出すために細い糸を使って手織りした繊細な生地。浅黄色の柔らかな色合いが特徴だ。天蚕糸100%と、縦糸に「ぐんま200」の絹糸を使ったものを製作。骨は唐木と黒塗りの2種類を用意した。

 松井さんは「皆に行き届くものづくりをしていきたい。ストールなども手掛けてみたい」と話している。

 扇子は天蚕糸の配分に応じ、1万円台後半から2万円台前半で販売を予定している。問い合わせは松井さん(電0277・65・7720)まで。
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イノシシに襲われ男性死ぬ、広沢三 「夫婦でかまれた」

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 11日午後9時35分ごろ、桐生市広沢町三丁目の酪農業、丹羽正雄さん(67)方で、「夫婦でイノシシにかまれた」と丹羽さんの妻・八重子さん(60)から119番通報があった。丹羽さんは右脚に深い傷を負うなどし、太田市内の病院に搬送されたが、同日午後11時26分に死亡が確認された。桐生署によると死因は出血性ショックという。八重子さんも腰を負傷して栃木県足利市内の病院に運ばれたが、命に別条はないという。

 現場は国道50号・広沢町三丁目交差点の南西約200メートル。丹羽さん方は2人暮らしで、乳牛の酪農を営んでいる。同署によると、丹羽さんは11日午後4時ごろ、敷地の北東側の牧草などを置く小屋の脇にイノシシ用のわなを仕掛けた。直後の同日夜、体長約1・5メートルのイノシシが足を取られて暴れているのを夫婦で発見。丹羽さんが牧草などを集めるのに使う農業用フォークで抑え込もうとした際、わなが根元から外れ、イノシシが突進してきたという。

 親族によると、丹羽さんは右脚の太ももをイノシシの牙でそがれたような深い傷を負うなどして出血。八重子さんは腰の2カ所に牙で突かれたような傷を負い、急いで自宅に戻って119番通報したとみられる。 イノシシは近くの山の方へ逃げたとみられ、わなが足にかかったままかどうかは不明。同署員と桐生猟友会員は12日朝から周辺を捜したが、同日正午までにイノシシは見つかっていない。

「外出するの怖い」、周辺住民に衝撃走る

 自然豊かな桐生地域で、イノシシが人里に現れるのは珍しくないが、ついに人がイノシシに襲われて死亡する事案が発生し、住民に衝撃が走った。茶臼山のふもとにある丹羽さん方は十数代続く旧家で、近隣の丹羽一族の総本家という。近隣住民とともに日ごろからイノシシの出没に悩まされていたとみられ、丹羽さんの敷地周辺や近隣の畑、ため池などにはいたるところに柵が張り巡らされている。特に丹羽さんは、牛の飼料を狙うイノシシを警戒し、敷地内に自前でわなを仕掛けたばかりだった。

 丹羽さん夫妻と親しい近所の女性は、「まさか丹羽さんが襲われて亡くなるなんて。夜は怖くて外出できなくなる」と顔を青ざめた。丹羽さん方に近い常薫寺の関係者の女性(73)も「参拝にくる人がイノシシの群れを見たという話はよく聞くが、人を襲うなんて恐ろしい」と不安を募らせる。

 周辺には大雄保育園や樹徳幼稚園、神明小学校など、子どもが通う施設も多い。大雄保育園の保育士(42)は「夜を中心に近所でイノシシを目撃したという話はよく耳にしていた。昼間、子どもたちの登山や散歩で山に向かうこともあるが、当面は近づかないよう注意したい」と話す。

 鳥獣害対策にあたる桐生市林業振興課は、「広沢町の山林は雑木が多く、この付近のイノシシはドングリを多く食べて比較的大きい個体が多い」とした上で、「一定の距離があれば突進してくることは少ないが、至近距離になると突進することもある」として、イノシシに近づかないよう呼びかける。

 一方で、丹羽さんは自宅内にわなを仕掛けていたが、狩猟免許は持っていなかったという。わなを仕掛けること自体は違法ではないが、わなにかかった動物を捕獲するためには県の鳥獣捕獲事業計画に基づく市の許可と、猟友会の協力が必要となる。同課は「獣害対策については市に相談してほしい」としている。
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距離を保つ

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 夜、仕事を終えて駐車場に向かう途中、なにやら物悲しげな鳴き声が耳に届いた。暗がりに足を止めると、甲高くまた一鳴き。声の主は、おそらくシカ。距離はだいぶ遠いようだが、肌寒さを増す秋の夜に、声はよく通る▼つい先日も、菱町の市道を車で走行中に、路肩にたたずむ2匹のシカと遭遇した。日没直後の薄暗い中、とっさの出合いにも衝突することはなく、事なきを得たのだが、繰り返し体験しているはずなのに、そのたびにドキリとする。いつかぶつかるときが来るのではないかと、予感はある▼この秋はカキの実りがいまひとつだったと、立ち話の中で話題になった。9月下旬の長雨のころ、青い実がだいぶ落ちてしまい、毎年楽しみにしている収穫がどんと減ってしまったと、そんな会話だ。長雨、そして日照不足の影響を受けているのは、人ばかりではないのだろう▼山で暮らす動物たちが、人里にまで入り込むケースが増えている。きっかけの一つは食べもの。個体数が増えるなどして競争相手が多くなれば、あるいは、天候不順で山の実りが減れば、野生動物たちは里に現れる。必然的に人と衝突する機会も増える▼互いに逃げられるだけの間合いが保てるよう、備えたい。(け)
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かかあ天下や地域再生語り合う、日本遺産認定記念イベント

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 県内12件の文化財で構成される「かかあ天下─ぐんまの絹物語─」の日本遺産認定を記念したイベントが12日、最多の6件を有する桐生市内で開催された。県、市などの主催。あーとほーる鉾座(本町四丁目)では講演会やノコギリ屋根写真展など、そばの共愛会館では桐生第一高校調理科有志が「懐古(かいこ)桐生スープ」を振る舞い、各織物工場など文化財をめぐるスタンプラリーも実施された。

 鉾座での基調講演は長野県小布施の文化事業部セーラ・マリ・カミングス社長。長野オリンピックを機に移住したセーラさんは、小布施にある葛飾北斎の天井画など「裕福だったからではなく、夢があったからできた」と語る。「小布施ッション」や「小布施見にマラソン」などのイベントを成功させ、酒、木おけや瓦といった伝統を新たな切り口で発信し守る意義を説いた。

 パネルディスカッションでは市長の亀山豊文さん、大里仁一さん(文化財調査委員)、新井求美さん(織塾塾長)、吉田敬子さん(建築写真家)も登壇。

 大里さんは「江戸期の寺子屋で桐生は女子の比率が高く、女師匠も多い。財を生み出すには読み書きそろばんができる女の力が必要だった」と「かかあ天下」の背景を説明。新井さんは子どもたちに織物の基礎を教えたり、所蔵資料を新しいものづくりの発想に役立てるなど尽力。吉田さんは桐生のノコギリ屋根に魅せられて全国を回り、「一つとして同じ顔はない」と本物の魅力を伝える。

 セーラさんは連携の大切さや「織物の街として見えるよう、のれんや旗を掲げては」、吉田さんは「ノコギリ屋根サミットを」と提案。亀山市長は「今きちんとしないと無くなってしまうものがたくさんある」との危機感を示しつつ、歴史文化に磨きをかけたまちづくりを約していた。
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土田産業、手芸糸をブランド展開、裁断端活用し商品化

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 廃棄される物を再利用するリサイクルを超え、付加価値を高めた新しい商品へと生まれ変わらせる取り組みを「アップサイクル」という。染色整理業の土田産業(桐生市新宿二丁目、土田善一社長)は、工程の中で出る端材を手芸用の糸に再生した。「mimimo(ミミモ)」の商品名でブランド化し、ウェブサイトや桐生市内の専門店を通じて販売を始めた。

 糸の材料となるのは、耳と呼ばれる細長い裁断端。最終工程で生地のしわを蒸気で伸ばし、幅を均一に切りそろえる際に生じる。これまでは使い道がなく処分していたが、環境に配慮した資源の有効活用を模索する中、カットソーの切れ端を用いた「ズパゲッティ」と呼ばれる欧州発の手芸糸がエコ素材として人気が高まっているのに着目し商品化した。

 ブランド名の「mimimo」は「ミミも使う、ミミも資源」の意味を込めた。Tシャツなどに使われ伸縮性に富む天竺(てんじく)編みで、海外製が柄物メーンなのに対し、白や紺、黒とベーシックな無地が中心。珍しいラメ入りが出ることもある。

 もともとが余り生地だけに糸との出合いは一期一会。太さの平均は5~6センチ。ズパゲッティの2・5倍ほどで、ざっくりとした感じに編めるのが特徴だ。
オンラインショップ(http://www.mimimo-shop.com icon-link )を立ち上げてネット通販に乗り出したほか、地元を巻き込んだ展開を図りたいと、手芸用品店のカネコヤ(本町四丁目)での取り扱いも決まった。編み見本の製作は、ウールギャラリーあむ(宮前町一丁目)の協力を仰いだ。

 1ロール500グラム標準で平均的な長さは約80メートル。薄めから厚めまで、厚さに応じた4種類に分類して販売している。特殊なものを除き、価格は980円(税込み)。

 商品化を担当した丸山さとこさん(35)は「国産品は出回っておらず、繊維のまち桐生だからできる商品。捨てればごみになるものが創作の材料になり、桐生の名前を広めることにつながれば幸せ。ワークショップなどを通じ、ファンを増やしたい」と話す。

 問い合わせは同社色創館事業部(電0277・47・6442)まで。
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間合いを保つために

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 広沢地区で酪農を営む男性がイノシシに襲われて命を落とすという事故が起きた。大型の野生動物が人里近くまで進出している現状もあり、人と動物との遭遇は珍しいことではない。今回のような不幸な事故も、条件しだいでいつ発生してもおかしくない状況ではあった。同じ環境で暮らす住民として、ここから何を学べばいいのだろうか。

 イノシシに限らず、野生動物は基本的に用心深いので、かすかな人の気配を敏感にとらえて衝突を回避するための行動をとる。ただ、今回はわなにかかっていたため、人との間合いを保つことができなかった。

 わなにかかった状況で人間が近づいたり、犬にほえられたりすれば、イノシシはパニックになる。混乱した野生動物が発散するエネルギーは、私たちの想像をはるかに超えるようだ。

 桐生猟友会の会員によると、イノシシを捕獲するため、かつては猟友会でも足首を縛るわなを使用していた時期があった。ただ、わなによる痛みもあるせいか、イノシシがあまりにも暴れ回るため危険を感じ、現在のような捕獲おりのタイプに変更した経緯があるのだという。追い詰められた野生動物に近づく危険性を、改めて認識したい。

 イノシシが身を隠せるような場所が人家のそばに増えている点も気に掛かる。以前は田畑だった空間が放置されてしまえば、やぶになるまでの時間はすぐだ。これを寝屋として、イノシシたちは人目を避けながら繁殖し、生息域を拡大してきた。

 人と動物の衝突を避けるためにも、こうしたやぶを刈り込み、お互いの見通しをよくしておきたいところなのだが、土地の所有者が地域に住んでいないケースも少なくないようで、管理も難しいのだと聞く。

 ニホンジカの生息数が増えているため、イノシシが里へと追いやられているといった声もある。そうだとすれば、シカの個体数を制限することも、併せて必要になる。えさとなる堅果類の出来、不出来も、動物の個体数や行動に影響を及ぼす。一筋縄ではいかないのが実情だ。

 県では適正管理計画を策定し、イノシシをはじめ野生動物対策に力を入れている。人と野生動物とが地域を分けて共存できればいいのだが、現実には衝突するときもある。そのとき、どうふるまえばいいのか。相手を追い詰めないための行動が、人間の側に求められている。
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インフラの維持

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 道路工事が増える時期になった。車が前に進まないなと感じる半面、博多の陥没事故を思うとメンテナンスは大切だなとも思う▼以前ラジオで、下水管を交換する工事を見たら古いパイプはボロボロだったと話しているのを聞いた。その番組では、2000年ごろから続く国の緊縮財政のもとで公共事業費が削られ、必要なインフラの修繕ができていない、古いパイプはもう50年以上たっているはずだと話していた▼国土交通省によると、下水道管路施設の老朽化などによる道路陥没は年間約5000件と多発。全国の下水道の総延長は約46万キロで、50年経過したものは約1万キロ、30年経過は約10万キロ。老朽管は今後急増する▼税金の節約は良いことだが、今はデフレ。景気回復の手段の一つとして、不景気の時に公共投資を増やして雇用や需要を創出する方法もある。もし節約を少し緩めて必要な修繕にお金を使えれば、事故を未然に防ぐこともできるのでは。財政再建という大きな課題はあるが▼国は今後、公共事業が秋から年度末までの下半期に集中するのを緩和し、1年を通じて平準化していくという。駆け込み工事が減れば日常生活への支障も減る。予算も効率的に使えるそうだ。(里)
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ケアホームいまじん、「介護食」に取り組む

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 桐生市境野町二丁目のグループホーム「ケアホームいまじん」が介護食への取り組みを始め、施設管理者の弦巻由佳さん(32)が調理師と介護食士の資格取得を目指して励んでいる。12日には弦巻さんが通う東日本調理師専門学校(高崎市)の五十嵐康之さんと生徒たちが訪れ、施設を利用するお年寄りが食べやすいよう工夫した介護食のデザートを提供した。

 高齢になると食べ物をかんだり飲み込んだりする咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)機能が低下し、食べられるものが限られてしまったり、流動食や栄養剤の利用などが必要になる人もいる。介護食は、料理の味や見た目を極力変えず、素材や調理の工夫で、咀嚼・嚥下機能の低下した人にもおいしく食べられるメニューを提供するもの。

 同施設に勤務する弦巻さんは「利用者さんに人生の最期までおいしい食事を食べてもらいたい」と今年度から同専門学校に入学。「それぞれの状態に合わせた食事を提供し、手づくりの食事の温かさや一人ひとりへの思いを届けたい」と意気込む。学んだ知識や技術を少しずつ取り入れながら施設で介護食を実践し、周囲の職員のレベルアップも図っていくという。

 12日に行われた介護食デザートの提供は、弦巻さんが通う同専門学校の西洋料理専門調理師の五十嵐さんが全面協力したもの。水分が多く嚥下しやすい水ようかんや杏仁(あんにん)豆腐、お年寄りも食べやすいように生地に工夫を凝らしたひとくちサイズのロールケーキの3品を提供。一人一人に希望を聞きながら取り分けるなどして、お年寄りたちは味だけでなくサービスも楽しんだ。
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