防災の具体的な備えなし2割、水や食料の備蓄なし5割―。桐生市民の防災への備えが2年前の前回調査時とほとんど変わらず、防災意識が“横ばい”の状態であることが、今年度実施された同市の「市民の声」アンケートの調査結果で明らかになった。同市は「防災意識の高揚に努めていく必要がある」としている。
同アンケートは、市政への市民の意識や要望を把握して政策に生かそうと、市が1971年から隔年で実施。22回目の今回は今年7月、無作為抽出した20歳以上の市民2千人に郵送で行い、1067人が回答した。
防災についての設問は、暮らし満足度などを聞く基本調査8項目とは別に、特定分野を調査した特定調査項目の一環。「日ごろの備え」や「水や食料の備蓄」、「自宅以外の避難先」など5項目を調査した。
「日ごろの備え」の設問に対する回答(複数可)で最も多かったのは「具体的な備えはしていない」の19・9%。同じ選択肢で調査した前回もトップの21・2%で、防災の備えをしていない人が約2割に上る状況にあまり変化がないことが分かった。
次いで多かったのは「家族との連絡方法の確認」17・1%(前回比0・6ポイント増)と「非常用持出品(非常用ラジオ、懐中電灯、医薬品など)の準備」17・1%(同2・6ポイント減)、「水や食料の準備」16・5%(同増減なし)、「避難場所や経路の確認」13・7%(同3・9ポイント増)だった。
「水(1日1人3リットル)や食料は家族何日分の備蓄をしているか」との問いに、最も多かった回答は「用意していない」47・3%。同じ選択肢で調査してトップだった前回の43・3%を、さらに4・0ポイント上回った。
次いで「2日分」14・7%(前回比0・8ポイント増)、「3日分」13・1%(同0・8ポイント減)、「1日分」9・4%(同増減なし)、「4~6日分」6・0%(同1・1ポイント増)、「7日(1週間)分以上」3・4%(同1・8ポイント減)だった。
また今回初めて設けた「自宅以外のどこへ避難しますか」との問いには、「避難所・避難場所指定の学校や公民館など」が52・1%と過半数を占めた。その一方で、「特に決めていない」が23・2%にも上り、避難場所や避難経路の事前確認をしていない人が2割超に上ることが分かった。
ただ、「地域の防災活動に参加したいか」との問いには、「参加したい」「どちらかといえば参加したい」の合計が62・8%で、同じ選択肢で調査した前回を6・8ポイント上回った。
市は調査結果の中で「家庭における備えが十分ではない結果となった。今後も啓発を続け、家庭における防災意識の高揚に努めていく必要がある」と指摘。その一方で「地域防災への理解は深まっており、自主防災活動を支援するとともに、未組織地域に啓発していく必要がある」としている。
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