「この間のコラム、読みましたよ。まさにその通りだと思いました」―。後輩が話しかけてきた。取材に出る機会の減った今、何にせよ、自分の書いたものに反応してもらえるというのは悪い気はしない。で、聞き返す。「この間って、いつの? おれ、何書いたっけ」▼「え? えーっと…何日か前の…。なんか社会的な…あれですよ」「あれって…何だっけ? 一番最近だと19日だけど、おれ何書いたっけ」「う、うーん…。とにかく、その通りだ、っていう印象はあるんです。会社に戻れば分かるんでしょ? 確認してください」「もう…おれたち本当、だめなジジイ」▼高校を卒業してはや30年以上。この間、本紙に紹介された同級生の年齢の数字に「え?」と驚いてしまった“アラフィフ”である。直近の記憶も薄ぼんやりしているような衰えを隠せない年齢で、先輩も後輩もないよなあと思いつつも、この年齢で先輩後輩のつながりのあることが、うれしい(後輩はどう思っているかは知らないが)▼けっこうお年を召した方々が、同窓会を心待ちにしていたりするのは、こういうことなのだろうなと思う。人に限らず、気が置けない存在というのは、存在するだけでうれしいのだ。(篤)
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