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泉さんら6人優秀賞、ものづくり日本大賞

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 日本のものづくりを担う優秀な人材を顕彰する国の「第6回ものづくり日本大賞」で、織都桐生1300年の“原点”である「あしぎぬ」を再現した糸を用い、現代の生活様式に合う着物や帯などをつくりあげた泉織物(桐生市東五丁目)社長の泉太郎さん(51)と県繊維工業試験場の研究員ら6人が優秀賞に輝いた。原料と工程に踏み込んだ取り組みが高く評価された。

 あしぎぬは、桐生で織物がつくられた最古の記録が残る「続日本記」で朝廷に献上したと記載された古代の絹織物。座繰り器の誕生以前の糸で、手でひいていたとみられる。

 大日本蚕糸会の蚕糸科学研究所長、清水重人さんが糸を量産可能な繰糸機を開発。その糸にほれ込んだ泉さんが繊工試の知恵を借り、低張力でひいたからこその柔らかな触感を生かした商品化を進めた。試験場の齋藤宏さんが風合いを損なわない撚糸(ねんし)、久保川博夫さんと齋藤裕文さんが精錬、清水弘幸さんが物性の分析評価を担当。技術面で支えた。

 今回の同大賞には全国から315件の応募が寄せられた。25日までに経済産業省の担当者が泉織物を訪れ、集まった全員に表彰状を直接手渡した。

 各賞の受賞者は大企業が多く、「うちのような小さな企業がいただけて本当にうれしい。本業の着物で受賞できて励みになる」と泉さん。「どんな機能性繊維も絹にはかなわないと思っている。その良さを伝えていきたい」と先を見据える。

 着物と帯、それにショールなどの服飾品を製作。さらに引っ張りを掛けて織ると逆に硬さが出る特性を生かし賞状としての用途も探る予定。糸を復活させた清水さんも「こうして泉さんと出会えたのは糸にとっても幸せなこと」と喜んでいた。
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