高齢者の機能訓練にパチンコを活用しようと、「グローバルスタンダート」を経営する野口智行さん(34)=桐生市小梅町=が製品開発に挑んでいる。ハンドルを回して玉を繰り出し、画面の表示には足踏みペダルで反応するなど、介護現場の声から生まれた製品は8種類にまで増えた。最近は高齢者ドライバーによる交通事故も目立つだけに、「運転機能の維持などにもつなげたい」と、新たな効果に期待を寄せる。
桐生に縁の深いパチンコを社会貢献に利用しようと、中古パチンコ台のネット販売を手がける野口さんは独自の模索を続けている。
板状のパッドにセンサーを組み込み、足踏みをするとパチンコの玉が出る仕組みや、握力グリップを握ると玉が出る、あるいは足こぎペダルを踏み込むことで玉が出るなど、手足の機能訓練を視野に開発した器具は8種類に上る。
「どれも介護現場の声をもとに開発した。日常生活動作を低下させないために、楽しみながら機能維持につなげる。そんな狙いがあります」と話す。
現在、北海道や鹿児島など10カ所の介護施設に機能訓練用のパチンコ台を貸し出しており、施設職員らと話し合いながら生の声やデータを採取している。
今回、野口さんはパチンコ台のチャンスボタンに着目。玉を繰り出すための従来のスイッチに加え、チャンスボタンと連動するスイッチも新設した。
スイッチが二つになったことで、「例えばハンドルを回して玉をはじきながら、画面に反応して足元のペダルを踏むといった、注意力や反射神経の必要な作業を加えることができる」と野口さん。8種類の器具の中からどれを組み合わせるか、バリエーションは豊富だ。
高齢者ドライバーの事故が注目される中、「今後は医療機関や介護施設、学会などとも協力し、効果を確かめてみたい。まずは器具を知ってもらえれば」と、野口さんは話している。
デモ機貸し出しも
パチンコ台のリースは1台1万円(1カ月)で、デモ機の無料貸し出しにも応じている。
問い合わせは野口さん(電0277・20・6077、ファクス20・6078)へ。
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