不穏な時代の幕開けだろうか。日本時間21日未明に就任式を控える米国のトランプ次期大統領が同12日、当選後初めての記者会見を開いた。そこで見せたのは、既存メディアとの露骨な対決姿勢だった▼トランプ氏のメディア批判は選挙戦のときから一貫している。要するに、メディアを既得権の権化とみなして攻撃することで、あらゆる既得権に不満をもつ一般大衆の心をつかむ戦術だ。同時に、自身を批判するメディアの信用を貶めたいという意図も透ける▼だが、大統領に就任後、メディアはさらに批判を強めるだろうから、感情的な対立を繰り返すだけではやがて大衆にも見放されよう。政治不信や閉塞感という負のエネルギーに押し上げられたリーダーが舵取りを誤れば、その先にあるのはさらなる失望や混乱だ▼一方で、トランプ氏の「自国最優先」という主張は、行き過ぎたグローバル経済の揺り戻しという面ではしごく真っ当にも映る。世界中を支配してきた米国資本を思えば壮大な矛盾も感じるが、ともあれ強烈な政治的リーダーシップが世界経済の流れをどう変えるのか、繊維をはじめとする桐生地域の産業も少なからぬ影響を受けるだけに、ひとごとではいられない。(成)
関連記事:
↧
トランプ時代へ
↧