大寒をすぎた日曜の夕暮れどき、まちなかのガソリンスタンドで、1羽のチョウが羽ばたいているのに気付いた。高い天井付近に並ぶ照明の光を渡りながら、羽を小刻みに震わせ、飛んでいる。時間にして5分ほど、こちらの給油作業が終わるまで、一度も羽を休めることはなかった▼あれは何というチョウだったのか。時折のぞいた羽の表には、淡いオレンジ色の配色があったようで、タテハチョウの仲間なのかもしれない。それにしても、真冬のこの時期、深夜から夜明けに至るまでの厳しい寒さを、いったいどこで、どうしのいでいるのだろうか▼こうして生まれた疑問を投げ捨てることなく、あるいは書物やネット上で回答を探し求めてしまうのでもなく、そのまま観察し続けることができたならば、チョウへの関心はより深まるだろうし、新たな関係性が見えるのかもしれないと、残念に思った▼疑問という穴が開いたとき、穴をどう埋めるのか、方法はさまざまだ。誰かが見つけた回答を探して、穴をふさぐのが一番簡単。でも、それではひとときの喜びにすぎない。疑問は疑問のままにとどめ、自分で調べてみたいものと、真冬のチョウを思い出しながら、続きを探している次第。(け)
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真冬のチョウ
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