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高裁も支払い認める、女児自殺・見舞金訴訟控訴審

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 桐生市立新里東小6年だった上村明子さん=当時(12)=が2010年に自殺した問題で、明子さんの母親(47)=栃木市=が独立行政法人日本スポーツ振興センター(東京都港区)に死亡見舞金2800万円の支払いを求めた訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が30日、東京高裁であった。河野清孝裁判長は、同センターに見舞金全額の支払いを命じた一審判決を事実上支持する形で、遅延損害金だけを除いて見舞金を支払う旨の和解案を示した。

 同訴訟は、明子さんの自殺は学校でのいじめと教諭らの対応の不備が原因であり、学校での災害に当たるとして、母親が同センターに見舞金の支払いを求めたもの。センター側は、支給に必要な「いじめと自殺の相当因果関係」が明子さんのケースでは認められていないなどと主張し、争っていた。

 昨年10月20日の一審・宇都宮地裁判決は、自殺の主因はいじめだと認めた上で、教諭らの対応を検討するまでもなく「学校管理下で発生した事件に起因する死亡」に該当すると判断。同センターに請求全額と年5%の遅延損害金を支払うよう命じ、母親側の“完全勝訴”となった。同センターがこれを不服として控訴していた。

 控訴審は即日結審し、双方に和解案を提示。2月17日に和解協議を行い、合意に至らない場合は3月15日に判決を言い渡す方針が示された。

 母親側の代理人弁護士は「一審判決を踏まえた上での和解案であり、評価に値する。和解すれば勝訴的和解と言え、事件の早期解決になる。和解せずに判決を求めた場合(センター側に)上告されてさらに時間がかかる可能性も出てくる」とし、和解に前向きな姿勢を示す。

 同センター災害共済課は「和解案の内容を検討し、次回協議までに方向性を出したい」としている。

 明子さんの自殺をめぐり、遺族は2010年以降、3件の訴訟を提起してきた。

 桐生市と県に計3200万円の損害賠償を求めた訴訟は、一審・前橋地裁がいじめと自殺との「事実的因果関係」を認め、市側に計450万円の支払いを命じる判決を出した。控訴審で、市側が「解決金」を支払い、いじめの対応の不備を謝罪することなどを条件に和解した。

 元同級生の女子とその母親にいじめへの謝罪を求めた訴訟では、女子が遺影に頭を下げたことで「謝罪」の意思が示されたとして、慰謝料などの授受はなく和解した。
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