みどり市が林業振興の一環として、住友林業(本社東京)の苗木生産拠点を市内に誘致する方向で調整している。同社としては北海道を除く東日本では初の施設といい、建築用材として今後需要が見込まれるカラマツの苗を生産・供給する計画。市では、企業誘致による経済効果に加え、地元の林業家らが苗木を入手しやすくなり、戦後に植林され伐採期を迎えているスギの主伐とその後の再造林への循環が促されるとして、林業の活性化に期待を寄せている。
同市の計画によると、市内の遊休農地に同社の苗木生産施設を誘致する。2017年度に施設を整備し、18年から苗木生産を開始。順調にいけば19年から“みどり市産”の苗木の出荷が始まる見通しという。
施設整備費は約8500万円で、林野庁の次世代林業基盤づくり交付金を導入したい考え。同交付金に加え、市は17年度予算案で上乗せ補助を検討している。
カラマツはスギなどと同様に建築用材として使われる針葉樹で、スギに比べシカやクマなどによる獣害のリスクが少なく、花粉症の心配もないという。この苗木を年間10万本生産し、同市を含む桐生地域をはじめ、北関東の民有林や国有林に供給する計画だ。
生産するのは、根の部分を筒状の容器に入れて栽培する「コンテナ苗」と呼ばれる苗木。地面に穴を開けてそのまま植樹でき、従来の裸苗に比べて2割ほど植林コストが軽減できるとされる。現状では裸苗の約2倍ほど単価が高いが、普及に伴って生産コストが下がり、需要も拡大するとみられている。
同市によると、戦後に植林されたスギの多くが樹齢50~60年を過ぎて伐採期に入っているが、再造林に必要な苗木が全国的に不足しているという。苗木生産施設を市内に誘致することで、森林資源の循環を促し、林業活性化に弾みをつけたい考えだ。
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