春節は、中華圏の旧暦正月。中国や台湾からの客を迎えるに、疑似装飾をした「お・も・て・な・し」が日本各地で行われたという。中華街ならともかく、地方が迎合するのはどうか。爆買いが収束したら次はコト消費とか、ならば本物の“観光”体験こそ喜ばれるはずだ▼個人的な乏しい経験では、外国に行って邦楽や茶道や和食のもてなしを受けたいとは思わない。その地の文化や風習にこそ浸りたい。異質な風景や伝統や考え方、言葉にふれ、学び、偏屈狭量箱庭的自己を少しでも解き放ちたい。英語は“世界語”でも何に頼むか、試してみたい▼明治維新のときや第2次大戦後に、国語を英語に、いやフランス語に、と宣わった文部大臣やら“小説の神様”やらがいたことを想起した。またも危機的状況に、先祖返りか。しかしかつては庶民が健全で方言も暮らしに息づいていたから、高慢な戯言と片付いたのだろう▼ある山間の温泉街では、数軒ある食堂が補助金を受けて一新したものがある。写真と英、中、韓の簡単な説明、値段を記した指差しメニューだ。「私(店主)は日本語しかできません」という断りがいい。そして笑顔で「ばかうめぇど」などと声を掛けてくるのがいい。(流)
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